公認会計士試験の独学合格は難しい!難易度や平均受験回数、必要な勉強時間まとめ
2024.10.04 資格に関するコラムPR
国内で難関資格として、医師資格や弁護士資格が有名です。しかし、それと同じくらい難関資格とされているのが『公認会計士資格』です。この記事を読めば、そんな公認会計士試験の難易度と、独学合格を狙えるのか?という点を知ることができます。
目次
公認会計士とは
公認会計士とは、弁護士・医師と並んで国内の三大国家試験に数えられる資格です。弁護士は法務分野、医師は医療分野の専門家なのに対して、公認会計士は会計分野の専門家となっています。数ある会計分野の資格の中でも最高峰レベルの資格です。
その他にも、公認会計士には独占業務があり、「監査業務」は公認会計士にのみ許された仕事となっています。単純な知識量だけでなく状況に応じた応用力が必要など、雇う側から高いレベルの仕事が求められることが多いです。
- 三大国家資格に数えられるほどの難易度
- 会計分野におけるスペシャリスト
- 監査業務は公認会計士のみの独占業務
公認会計士になる方法と受験資格
ここからは、公認会計士になる流れについて簡単に解説していきます。
①:公認会計士試験に合格する
まずは、公認会計士試験に合格することがスタートラインです。
試験日 | 【短答式試験】例年12月・5月 【論文式試験】例年8月(3日間) 1日目:監査論・租税法/2日目:会計学/3日目:企業法・選択科目 |
---|---|
合格発表日 | 【短答式試験】例年1月・6月 【論文式試験】例年11月 |
試験形式 | 短答式試験・論文式試験 |
合格基準点 | 【短答式試験】総点数の70% 【論文式試験】総点数の52% |
公認会計士試験は、「短答式」と「論文式」があります。短答試験は12月と5月の年2回、論文式は8月に3日間かけて実施されるためしっかりと準備しなくてはいけません。論文式試験の合格発表は試験日から約3ヶ月後と間が空きますので、不安な人は自己採点することをおすすめします。
②:実務経験を3年以上積んで実務補習所で単位を取得する
公認会計士試験に合格した後は、まず実務経験を積まなくてはいけません。ほとんどの方が「監査法人での監査補助」で実務経験を積むことになります。もちろん給与なども発生します。一般企業にて実務経験を積む方もいますが、中には実務経験として認められない案件もあるため注意しましょう。
実務経験を積んだ後は、公認会計士として登録するために「実務補習所」にて単位を取得します。ライブ講義やe-ラーニング講義があるため、働きながらでも受講しやすいのが特徴です。270以上の単位取得と、定期的に実施されるミニテストに合格すると次のステップに進みます。
③:修了考査に合格する
上記の実務経験3年+実務補習所での単位取得をクリアすることで、「修了考査」を受験することができます。
【修了考査の概要】
考査実地時期 | 年1回(12月もしくは1月) |
---|---|
試験科目(記述式) | 会計に関する理論および実務:300点満点 監査に関する理論および実務:300点満点 税に関する理論および実務:300点満点 経営に関する理論および実務:200点満点 公認会計士の業務に関する法規および職業倫理:100点満点 |
合格基準 | 総得点の60%が基準となり、修了考査運営委員会が相当と認めた得点比率 |
足切り基準 | 1科目でも40点未満だと不合格になる可能性あり |
合格率 | 50~70% |
全5科目の記述式試験が行われます。1200点満点と配点も大きく、「公認会計士の修了考査なのだから難しそう…」と感じますが、実際は50~70%という合格率推移です。足切りがあるなど油断はできませんが、本試験と比較するとそこまで思いつめる必要はないでしょう。
③:公認会計士登録を行う
公認会計士試験に合格し、実務経験と修了考査合格を果たせば、最後の「公認会計士登録」に進むことができます。必ずしも登録する必要はありませんが、公認会計士として働いていくなら早めに登録申請することをおすすめします。
登録申請は「日本公認会計士協会」からできますが、提出書類を事前に用意しなくてはいけません。提出した書類が受理されれば、公認会計士として働くことができます。これが、資格合格から働けるようになるまでの流れです。
【※登録には会費がかかる】
公認会計士の登録には、入会費や年会費などが必要です。正会員、準会員、入会する地域によって多少前後ありますが、目安は以下のようになっています。
正会員 | 準会員 | ||
---|---|---|---|
登録免許税 | 60,000円 | 登録免許税 | 60,000円 |
入会金 | 40,000円/年 | 入会金 | 10,000円 |
施設負担金 | 50,000円/年 | 本部会費 | 15,000円/年 |
本部会費 | 60,000円/年 | 地域会会費 | 6,000円~14,400円/年 |
地域会会費 | 42,000円~60,000円/年 |
正会員の場合は登録に約150,000円、年会費に102,000円~120,000円を負担しなくてはいけません。準会員は登録期間が3年半で、毎年83,500円~104,500円ほどの費用がかかります。就職場所によっては法人が負担してくれることもありますので、就職前に確認しておくと良いでしょう。
公認会計士試験の受験資格について
2006年に撤廃してから2024年現在まで、公認会計士試験に受験資格は設定されていません。国籍・年齢・性別・学歴など問われないため、誰でも受験することができます。「国家資格=受験資格がある」というイメージを持っている方もいますが、安心して挑戦することが可能です。
医師資格も司法試験も受験資格が必要ですので、三大国家資格の中では受験の敷居は最も低いと言えるでしょう。その分だけ試験勉強に時間を費やすこともできます。ただし、公認会計士として働くためには試験合格後に色々と条件や申請が必要になりますので、その点は覚えておきましょう。
公認会計士試験に必要な勉強時間
ここからは、公認会計士試験合格に必要な勉強時間について見ていきましょう。
独学で合格を目指す場合
もし独学で公認会計士試験合格を目指す場合、勉強時間の目安は3,000~4,000時間になります。とにかく出題範囲が広く、どの科目も落とすことができないため満遍なく勉強する必要があるからです。最短でも2,500時間は必要とされており、働きながら合格を目指すのは難しいとされています。
一切の知識がない初学者、勉強が苦手な方、集中力が続かない方だと5,000時間近くかかるとされているほどです。自分に合ったテキストを見つけられなければ、さらに時間がかかることも予想されます。実際、10年間勉強しても合格できなかった方がいるほどです。
公認会計士試験に特化した教材も市販だと少ないですし、YouTubeなどで上がっている無料講義動画だけではすべてを把握することは難しいでしょう。独学ならではのモチベーション維持に自信がない方は、次に紹介する予備校や通信講座の利用をおすすめします。
予備校・通信講座を利用する場合
もし資格専門予備校や通信講座を利用する場合は2,000時間ほどで試験合格を目指すことができます。学習経験者であれば、1,500時間ほどで試験に臨むことも可能です。合格実績が豊富なベテラン講師が教えてくれますし、合格するためのノウハウが詰まったテキストを提供しているからですね。
質問や添削指導も提供していますし、勉強のモチベーションが維持しやすいよう工夫しています。コスパよりも品質を求めるなら資格専門予備校、コスパや気軽に勉強できる環境目的なら通信講座がおすすめです。
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他の国家資格との勉強時間の比較
国家資格 | 勉強時間(目安) |
---|---|
公認会計士 | 3,000~4,000時間 |
司法書士 | 3,000~4,000時間 |
税理士 | 2,000~3,000時間 |
行政書士 | 600~1,000時間 |
社労士 | 800~1,000時間 |
他の国家資格と比較してみると、表の中だと最上位の勉強時間が必要だということが分かります。司法に関する専門知識が必要な司法書士と同等の勉強時間が必要というだけでも、いかに出題範囲が広いか理解できるでしょう。
仮に1日5時間勉強した場合、公認会計士だと2~3年ほどかかりますが、税理士であれば1~2年、行政書士であれば6ヶ月~1年ほどです。そのため、軽い気持ちで公認会計士資格を目指すのはおすすめできません。
公認会計士試験は独学でも合格できる?
まず結論から言うと、公認会計士試験は独学でも合格できます。しかし、数々の難関国家資格を取得してきた人でも公認会計士試験対策で予備校や通信講座を使うなど、独学での難しさを物語っています。独学で合格するには、かなりの時間と根気強さが必要になるでしょう。
公認会計士の独学合格が難しい理由
では、なぜそこまで公認会計士試験の独学合格が難しいのか見ていきましょう。
①:試験範囲が広く、配分が難しい
最も分かりやすい理由は、とにかく試験範囲が広くて勉強の配分が難しいという点でしょう。公認会計士試験には短答式試験と論文式試験があると解説してきましたが、ここで各試験の概要を少し解説していきます。
【短答式試験の出題科目】
科目名 | 問題数 | 試験時間 | 配点 | 勉強時間の目安 |
---|---|---|---|---|
財務会計論 | 40問以内 | 120分 | 200点 | 約600~900時間 |
管理会計論 | 20問以内 | 60分 | 100点 | 約300~500時間 |
企業法 | 20問以内 | 60分 | 100点 | 約200~250時間 |
監査論 | 20問以内 | 60分 | 100点 | 約400~500時間 |
短答式試験は全4科目あり、すべてマークシート方式で実施されます。財務会計論のみ問題数・試験時間・配点が多く配分されているため、普段の勉強も財務会計論に割かれることが多いです。どの科目で点数を稼ぐのかによって、勉強の配分も自分で決める必要がありますね。
【論文式試験の出題科目】
科目名 | 問題数 | 試験時間 | 配点 | 勉強時間の目安 |
---|---|---|---|---|
会計学 | 大問5問 | 300分 | 300点 | 約300~400時間 |
企業法 | 大問2問 | 120分 | 100点 | 約120~300時間 |
監査論 | 大問2問 | 120分 | 100点 | 約200~300時間 |
租税法 | 大問2問 | 120分 | 100点 | 約500~650時間 |
選択科目(経営学・経済学・民法・統計学の中から1科目を選択) | 大問2問 | 120分 | 100点 | 各200~300時間 |
論文式試験は4つの必修科目と4つの選択科目の8科目が用意されています。必修科目の中でも会計学は問題数・試験時間・配点が頭一つ抜け出しており、それだけ勉強の時間も割かなければいけません。選択科目は4つの中から1科目を選ぶ形ですが、自分がどの科目が得意なのか理解しておく必要がありますね。
②:論文式の試験対策に限界がある
短答式試験の場合、マークシート方式なので消去法で解答することも可能です。つまり、大事なのは基礎知識と問題の読解力となります。そのため、短答式試験は市販テキストや問題集でもある程度の対策ができるというのが特徴です。
その一方で、論文式になると解答が記述式になります。問題を読み解き、それに対して自分の言葉で解答しなくてはいけません。そのため、明確な満点解答というものが存在しない試験でもあります。できるだけ高得点するためにも、解答のコツを知る必要があるでしょう。
しかし、市販テキストでは合格のノウハウやコツを身に着けるには限界があります。何が正解なのか、何が減点対象になるのかなどの適切なアドバイスが貰えないからです。通信講座であれば、こういった部分も質問制度や添削指導を用いてアドバイスが貰えますよ。
③:モチベーション維持が難しい
上記で解説した通り、公認会計士試験の勉強時間目安は3,000時間以上です。今まで受験などで勉強に慣れている人、勉強するのが趣味な人、学ぶことが好きな人にとってはそこまで苦に感じないかもしれません。しかし、ほとんどの人が「勉強時間3,000時間って…」と感じているでしょう。
最初は知識を身に着ける楽しさがあり、そこまで意識できないかもしれません。しかし、その試験範囲の広さにモチベーションが下がってしまうことも多いです。とくに独学の場合、「本当に学習ペースが合っている?」や「全然合格できる気がしない」という不安が定期的に襲ってきます。
さらに、試験に何回も落ちる経験をしてしまうと、どうしてもモチベーションが落ちたり心が折れたりすることもあります。誰にも相談できない独学だからこそ、モチベーション維持の方法を身に着けておくべきなのです。
公認会計士試験の難易度と合格率
ここからは、実際に公認会計士試験はどのくらいの合格率なのか、試験難易度なのか見ていきましょう。
公認会計士試験の合格率
まずは、公認会計士試験の合格率推移から難易度を解説していきます。それぞれ「短答式試験」「論文式試験」「全体の合格率」でまとめています。
第Ⅰ回短答式試験/第Ⅱ回短答式試験合格率の推移
第Ⅰ回短答式試験 | 第Ⅱ回短答式試験 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年 | 11,401人 | 1,182人 | 10.30% | 2023年 | 10,429人 | 921人 | 8.80% |
2022年 | 9,949人 | 1,199人 | 12.00% | 2022年 | 9,870人 | 780人 | 7.90% |
2021年 | 9,524人 | 2,060人 | 21.60% | 2021年 | 開催されず | ||
2020年 | 7,245人 | 1,139人 | 15.70% | 2020年 | 5,616人 | 722人 | 12.90% |
2019年 | 6,610人 | 1,097人 | 16.60% | 2019年 | 5,604人 | 709人 | 12.70% |
論文式試験の合格率
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 4,192人 | 1,544人 | 36.80% |
2022年 | 4,067人 | 1,456人 | 35.80% |
2021年 | 3,992人 | 1,360人 | 34.06% |
2020年 | 3,719人 | 1,335人 | 35.80% |
2019年 | 3,792人 | 1,337人 | 35.30% |
【全体の合格率】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 20,317人 | 1,544人 | 7.6% |
2022年 | 18,789人 | 1,456人 | 7.7% |
2021年 | 14,192人 | 1,360人 | 9.6% |
2020年 | 13,231人 | 1,335人 | 10.1% |
2019年 | 12,532人 | 1,337人 | 10.7% |
全体の合格率は10%前後となっています。10人に1人しか受からないと考えると、どれだけ狭き門なのかが分かりますね。今後もこの合格率に大きな変動はないでしょう。
短答式は全科目を一度に合格しなくてはいけない
合格率推移と見て「何で短答式試験はこんなにも合格率が低いんだ?マークシート方式だからヤマ勘でも点数は取れるだろ!」と感じた人もいるでしょう。確かに解答方式で考えればもう少し合格率が高くても良いように感じます。しかし、短答式試験には「全科目合格基準点を超える」という縛りがあるのです。
短答式試験の合格基準点は4科目の総得点の70%以上となっています。つまり、500点中350点以上取る必要があるのです。しかし、もう一つ条件が課されています。それが「各科目の得点比率が40%を満たしていない+答案提出者の下位から33%未満になる科目があると不合格になる」というものです。
いわゆる「足切り」と呼ばれるもので、総得点が基準を満たしていても各科目で基準点を満たしていないと不合格になってしまうのです。そのため、捨て科目というものも作れません。すべての科目を満遍なく勉強する必要があるため、合格率も低いまま推移していると予想されます。
合格者の受験回数は平均2~3回
公認会計士試験は難易度が高く、合格基準も短答式と論文式で大きく異なります。そのため、1回目の受験で公認会計士試験に合格するのは非常に稀なケースです。平均すると2~3回ほどとなりますが、中には10回以上受験して合格した人もいます。
そのため、勉強を始める前から「最初の受験で合格する!」というモチベーションで勉強するのはおすすめできません。追い込むことでストレスを感じやすくなりますし、実際に合格できなかった際のダメージは大きいです。ストレスを感じず勉強するためにも、2~3回受験する前提で考えてくと良いでしょう。
効率的・短期合格を目指すなら通信講座を検討
独学での合格も不可能ではないと前述しましたが、少しでも合格率を上げたい人、効率的に短期合格を目指したい人は「通信講座」の検討をしてみましょう。通信講座とは、その名の通り教室に通うのではなく家にいながら勉強できる講座のことです。
公認会計士の通信講座に通うメリット
- 誰でも気軽に始めることができる
- 経験豊富な講師陣が行う講義を家で視聴できる
- スキマ時間でも効率的に勉強できるシステムが豊富
- サポート制度も充実しているケースが多い
- 受講料が安めでキャンペーンなどの実施も積極的
通信講座最大のメリットは、やはり「誰でも気軽に始められる敷居の低さ」でしょう。教室に通う手間もいりませんし、周りの目やレベルを気にする必要もありません。家で気軽に勉強できますので、法律や会計に関する知識がまったくない初学者でも始めやすいです。
通信講座ということで「予備校の講義より品質が大きく落ちるのでは?」と感じる人もいます。確かに教室という独特の雰囲気は味わえませんが、教材も講師陣が厳選してくれますし、映像講義の品質も非常に高いです。むしろ倍速機能がある映像講義の方が、効率が良くて助かるという人も多くいます。
最近ではスマホ1台でテキストの閲覧から映像講義の視聴、答練・模試試験の解答などができるe-ラーニングシステムを導入している通信講座がほとんどです。移動中や休憩中などのスキマ時間を活用できるのも、通信講座ならではのメリットと言えるでしょう。
公認会計士の資格取得におすすめ通信講座は「公認会計士の通信講座おすすめランキング!人気6社の費用や合格実績を徹底比較」で紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。