簿記3級の難易度や合格率、独学合格のための勉強法・対策を詳しく解説!

2024.10.04 資格に関するコラムPR

簿記3級の難易度や合格率、独学合格のための勉強法・対策を詳しく解説!

就職や転職を有利に進めるために『簿記3級』を取得する人は多いです。多くの人が取得している資格というイメージがあり、「簿記3級試験って簡単なのでは?」と思っている人も多くいるでしょう。実際、自分の力だけで合格できるレベルの試験内容にはなっています。

この記事を読めば、そんな簿記3級試験の内容から難易度まで知ることができます。独学合格を目指す場合の勉強のコツや対策も解説していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。ただ、就職・転職目的なら「簿記2級の方がおすすめ」というのが、個人的な結論です。

簿記3級とは

まずは、簿記3級がどのような資格なのか簡単に解説していきます。

簿記3級の特徴

  • 簿記の基礎を身に着けたことを証明できる資格
  • 簿記2級との違いは「工業簿記」の有無(簿記3級は範囲外)
  • 「取引開始~財務諸表作成」までを担当できる
  • 基礎知識を身に着けたことが何よりも重要視される

簿記3級とは、簿記の基礎を学び合格することで、「基本的な経理業務であれば携われることができることを証明した資格」です。簿記3級では「商業簿記」に関する知識を身に着けたことが証明され、2級では「工業簿記」を身に着けたことが証明されます。これが3級と2級の大きな違いです。

簡単な内容としては、「仕訳」「総勘定元帳の作成」「財務諸表の作成」などを学ぶことになります。「取引開始~財務諸表作成」を担当することが多く、企業内の簡単な経理業務に携わることが多いです。最初は複雑で難しいかもしれませんが、慣れればスムーズに業務を終えることができるでしょう。

試験のおおまかな特徴としては、とにかく「基礎知識」が重要視されています。応用問題などはほとんど出題されず、テキストを読み込んで問題集を繰り返し解けば解答できるような問題ばかりです。詳しい勉強のコツについては、記事後半で解説していきます。

簿記3級を取得するメリット

  • 会社のお金の流れを理解できる
  • 就職や転職のアピールポイントになる
  • 副業の助けになる可能性がある
  • 他の資格取得の役に立つ

簿記3級試験では、主に「商業簿記」と呼ばれる分野を学びます。お店が物を仕入れて売り、その売上を記録するまでの流れを知ることができます。商店に関するビジネスモデルを想定できますので、学んでいなくても何となくイメージしやすい分野です。

「資格=能力・スキルを証明する」というものですので、簿記3級を取得していれば就職・転職の場においてアピールポイントになる可能性があります。ここに関しては記事後半にも解説していますので、最後まで読むことによって、より理解できるでしょう。

もし副業でオークションによる売買を行っている場合、利益が出たら確定申告を申請しなくてはいけません。確定申告をするには、売上・費用に関する仕訳をする必要があり、簿記3級の知識があれば問題なく手続きを進めていくことができるのです。これは独立開業した人にとっても役立つ知識となりますね。

簿記資格には3級の上に2級・1級がありますし、会計に関する上位資格に「公認会計士」や「税理士」なんかもあります。簿記3級は簿記・会計に関する基本知識というイメージがありますが、この基本知識が定着しているからこそ他の資格試験に活かすことができるのです。

簿記3級の合格率・難易度

ここからは、簿記3級試験の合格率とそこから分かる難易度について見ていきましょう。

簿記3級の合格率

簿記3級試験の合格率を過去5回分集めてみました。

統一試験
実施回 受験者数 合格者数 合格率
第167回(2024.6.9) 20,927名 8,520名 40.7%
第166回(2024.2.25) 23,977名 8,706名 36.3%
第165回(2023.11.19) 25,727名 8,653名 33.6%
第164回(2023.6.11) 26,757名 9,107名 34.0%
第163回(2023.2.26) 31,556名 11,516名 36.5%
ネット試験
2024年4月~2024年6月 54,763名 22,080名 40.3%
2023年4月~2024年3月 238,155名 88,264名 37.1%
2022年4月~2023年3月 207,423名 85,378名 41.2%
2021年4月~2022年3月 206,149名 84,504名 41.0%
2020年12月~2021年3月 58,700名 24,043名 41.0%
出典:商工会議所の検定試験(受験者データ)
統一試験だと35~40%前後、ネット試験だと40%前後が簿記3級試験の合格率推移です。1年で受験回数が限られている統一試験の方は受験者数が減少傾向にあり、いつでも受験可能なネット試験は受験者数が増加傾向にあります。今後もネット試験の方が増えていくでしょう。

意外と油断できない絶妙な難易度

合格率40%前後ということを考えると、そこまで難しい感じがしません。実際、合格率が20%以下の資格試験は多くあります。しかし、言い方を変えて「100人受験したら60人は落ちる」と言われると、一気に難しく感じてしまいます。

そのため、試験難易度も決して易しいとは言えないのです。しっかりと基礎を固める必要もありますし、過去問を解いて傾向を掴む必要もあるでしょう。ただ、ネット試験が普及したことで受験ハードルは下がっていますので、合格するチャンスが増えているのは嬉しいポイントです。

簿記3級の試験概要

ここからは、簿記3級試験の概要について解説していきます。

試験科目 商業簿記
試験日 【統一試験】
第168回(1~3級):2024年11月17日(日)
第169回(2~3級):2025年2月23日(日)
【ネット試験】
休止期間以外であれば基本的にはいつでも受けられる
試験時間 60分
受験資格 とくになし
受験料 3,300円

試験日は統一試験のみ指定されています。ネット試験は休止期間以外であればいつでも受験可能で、申込み期間も試験3日前までと非常に長いです。試験時間はどちらも60分ですので、資格試験の中では短めと言えるでしょう。

受験資格はとくに設定されていないため年齢・性別・学歴問わず誰でも受験可能です。受験料は3,300円とそこまで高くありませんので、受験の敷居自体は低いのも特徴と言えるでしょう。では、試験科目と内容について詳しく解説していきます。

試験科目・試験範囲

簿記3級試験の試験科目は「商業簿記」のみとなります。全体的な難易度としては、基本問題を解くことができれば合格できるレベルです。では、各大問の特徴を見てみましょう。

大問①:仕訳に関する出題

テキストを読むだけでも理解できる基礎レベルの仕訳について出題されます。1問1答形式で問題数は小問15問、配点は各3点の合計45点となっています。最も配点割合の大きい大問であり、ここで点数を稼ぐことが合格への大きな一歩になるでしょう。良くも悪くもシンプルな大問です。

大問②:勘定記入・適語補充・補助簿に関する出題

ざっくりと言うと「取引内容を帳簿に記録・記載するまでの流れ」を問われます。大問1とは違い、中問が2問用意されており、配点は各10点の合計20点です。小問単位・空欄単位による部分点などがありますので、点数の稼ぎ方を覚えておく必要があります。

大問2を苦手にしている方もおり、理解が薄いとまったく点数が取れないこともあるほどです。ただ、内容自体は大問1と同様にテキストレベルですので、しっかりと基礎を押さえて問題集を繰り返し解けば合格基準点を超すことも難しくありません。

【出題パターン】

  • 「取引→仕訳→総勘定元帳・補助簿・伝票など」
  • 「補助簿・伝票など→取引→仕訳→総勘定元帳」

基本的には上記どちらかのパターンで出題されやすいです。帳簿には複数の種類が存在していますが、テキストに掲載されている帳簿をマスターしていれば問題なく解答することができるでしょう。

大問③:決算に関する出題

決算とは、年度の終わりに帳簿を締める処理のことです。試験内容としては、決算整理前残高試算表などが与えられますので、それを参考に「決算整理後残高試算表」「貸借対照表・損益計算書」「精算表」などを作成します。複雑に感じますが、決算処理の仕訳自体はそこまで難しくありません。

他の大問とは違い、大問一つで35点という配点になっています。中問や小問はありませんが、勘定科目単位での部分点はあります。配点が大きく部分点を取れる可能性もありますので、細かい部分まで間違わないように見直すことが重要です。

合格基準と勉強のコツ

簿記3級試験は100点満点となっており、70点以上獲得することで合格することができます。各大問の配点は以下のようになっています。

大問 配点 目安となる点数 出題内容
1問目 45点 36~39点 仕訳問題:15問
2問目 20点 12~14点 勘定記入・適語補充・補助簿
3問目 35点 25点 決算

・仕訳問題
大問1の配点は45点で、合格基準点を満たすには「36~39点」くらいが目安になります。最も大きな配点となっており、ここで点数を稼いでおかないと合格は難しいかもしれません。最低でも30点は取れるように勉強しておくことが重要です。対策は、とにかく仕訳問題を繰り返す解くことです。

・勘定記入や伝票会計
大問2の配点は20点で、合格基準点を満たすには「12~14点」くらいが目安になります。10点の問題が2問出題されますので、1問当たり6~7点取れるようにしておきましょう。完答を求められていない問題もあるため、少しでも部分点を落とさないように最後まで解答することが点数を稼ぐコツです。

・決算
大問3の配点は35点で、合格基準点を満たすには「25点」くらいが目安になります。決算整理後残高試算表を用いて貸借対照表や精算表などを作成していく問題形式です。こちらも部分点が貰えますし、配点も大問1に次いで高いため、少し分からない部分でも解答することが重要ですよ。

ネット試験とペーパー試験の違い

簿記3級試験は、紙ベースで行う「統一試験(ペーパー試験)」と、インターネットを経由して行う「CBT試験(ネット試験)」の2種類があります。それぞれの比較を見てみましょう。

試験形式 統一試験(ペーパー試験) CBT試験(ネット試験)
試験日 年3回開催
第168回:2024年11月17日
第169回:2025年2月23日
基本的にはいつでも
解答方式 紙に書き込んで解答 パソコンで解答
試験時間 60分 60分
合格発表日 受験後2~3週間後が目安 試験終了後に試験システムが自動採点し、合否を判定
合格証明書 紙の合格証書 デジタル証明書
試験会場 全国の商工会議所が指定する会場 商工会議所ネット試験施行機関

一番大きな違いは、「試験日」でしょう。統一試験は年に3回しか実施されず、1回でも申請するのを忘れると3~4ヶ月待たないといけません。しかし、CBT試験の場合は基本的にいつでも試験を受けることができます。試験会場が埋まっている場合や、会場側の都合によって受験できないケースも稀にあります。

もう1つ大きな違いを挙げるなら、「合格発表のスピード感」です。統一試験は実施する団体によって異なりますが、概ね受験後2~3週間ほどで合否が分かります。一方のCBT試験であれば、受験後すぐに試験システムが採点してくれますので、すぐに合否判定を確認することが可能です。

CBT方式のデメリット
  • パソコン操作に慣れる必要がある
  • 問題が受験者ごとにムラがある
  • デジタル証明書ではNGな求人がある

基本的には受験の敷居が下がってメリットの多いCBT試験ですが、デメリットもいくつか存在しています。まず、解答はすべてパソコンにて行うため操作に慣れる必要があります。試験時間が足りなくなる、操作ミスで点数を落とさないように練習する必要があるでしょう。

そして、統一試験と違って出題される問題が受験者ごとに異なります。基本的には統一した難易度になるよう調整されていますが、よりにもよって苦手な分野が多く出題されるなんてケースも0ではありません。就職活動で簿記3級を記載する場合、合格証明書の提出を求められることもあります。その際、デジタル証明書はNGという法人もあるようです。

簿記3級は独学でも合格できる!

ここまで簿記3級試験の難易度や試験概要について解説してきましたが、簡単ではないものの簿記3級は独学での合格を目指すことができます。勉強時間も思っている以上に少ないので、3級の合格を目指す方は以下のことを意識してみましょう。

簿記3級合格に必要な勉強時間

簿記3級試験に合格するために必要な勉強時間は、おおよそ150~200時間程度だとされています。学習経験者であれば、50時間ほどの勉強時間でも合格を目指すことができるくらいの難易度です。そのため、早い方では勉強を開始してから2週間ほどで合格することもあります。

1週間で合格できたは危険

SNSや掲示板のような口コミサイトでは、「簿記3級試験に1週間で合格できました!」や「簡単な試験なので1週間勉強したら合格できます」といった内容がちょこちょこ見受けられます。しかし、これらの意見をすべて鵜呑みにするのは危険です。

確かに、初学者が1日10~12時間ほど勉強すれば1週間ほどで合格できるかもしれません。しかし、それは現実的な話ではないです。初学者であれば1~2ヶ月ほどの勉強期間を作り、じっくりと知識を身に着けていくのが合格への近道なのだと覚えておきましょう。

簿記3級を独学合格するための勉強法

ここからは、簿記3級試験に独学合格を目指す人に「勉強法のコツ」について解説していきます。そこまで難しい試験ではありませんが、効率的に勉強することで少しでも合格率を上げることが可能です。

1冊のテキストをしっかりと読み込む

簿記3級試験に出題される内容は、「基礎知識」がメインとなっています。基礎知識を定着させるためには、ひたすらテキストを読み込むことが重要です。何回も繰り返して読むことも重要ですが、苦手な分野などは書き込むことも意識していくと良いでしょう。

ただし、読み込むテキストは1冊にしておきましょう。テキストが異なると、読んでいる側の受け取り方も異なるからです。「書いていることは同じなのに、解説の流れが違うから混乱してきた…」というリスクを負わないためにも、自分に合ったテキストを1冊だけ購入するようにしましょう。

過去問題集を繰り返し解く

基礎知識をテキストを読み込むことでインプットできたら、問題集や過去問を繰り返し解答することでアウトプットしていきましょう。問題文が少し違うだけでは混乱しないほど知識が定着すれば、試験本番でも点数を出すことができます。最低でも3周はしておきたいところです。

「もう答えを知っている問題集を繰り返し解答して意味あるの?」と思われるかもしれません。しかし、人はずっと覚えておくことが苦手です。答えを知っていたとしても、「〇〇という問題は〇〇が答え」とセットで覚えておくことの方が重要なのです。

予想模試で本番の時間配分を掴む

比較的簡単な資格試験となっていますが、通常の答練と試験本番では緊張感が違います。頭が真っ白になって答えが全然出なくなることもありますし、思っていた以上に点数が出なかったなんてことも珍しくありません。とくに初挑戦の方にとって大敵なのが「時間配分」です。

簿記3級試験は大問が3つありますが、それぞれ解答方式が異なります。小問をひたすら解答するものもあれば、大問1つに解答するものもあります。つまり、それぞれに使うべき時間が異なるのです。それを間違えると、配点の大きな問題を白紙で提出する羽目になってしまうでしょう。

そういったミスをしないためにも、試験本番前に「予想模試」というものを活用してみましょう。出題傾向や自分の実力を測るためにも利用できますが、どのくらいの時間配分で解答していけば効率的なのかを実践的に覚えることができるからです。

就職に有利なのは簿記2級から

ここまで簿記3級について解説してきましたが、実際に就職・転職に有利なのは簿記2級からと言われています。

就職・転職における2級・3級の差

まずは、就職・転職における簿記2級と3級の評価について見てみましょう。

簿記3級の評価

3級を取得することで、簿記に関する基本が身に着いていると証明されます。しかし、あくまで基礎レベルであり、実務に完璧に対応できるわけではありません。会計に関する業務は多岐にわたり、3級のみの知識だけでは請け負う業務も限定的になってしまうのです。

もちろん、試験に合格して得られる資格のため履歴書に記載することはできます。まったく意味がないとは言えませんし、「簿記2級を取得する前提で内定を与える」という企業もあります。ただ、アピールポイントとしてはそこまで役立たないと考えておきましょう。

簿記2級の評価

3級の範囲に加えて「工業簿記」の知識も認定されている2級であれば、経理業務の即戦力として働きやすいです。企業側も即戦力を求めていますし、工業簿記であればメーカーや工場などでも働けるため選択肢が多くなります。そのため、もし就職・転職目的で簿記資格を取得するなら2級以上がおすすめです。

簿記2級試験は独学だと少し難しい

就職・転職目的で簿記資格を取得するなら2級がおすすめと書きましたが、取得難易度は当然ながら3級よりも難しくなっています。試験範囲は広くなっていますし、全体的な合格率は20~40%前後なので、難易度は高い試験と言えるでしょう。

簿記2級の合格を目指すなら通信講座がおすすめ

簿記2級になると「工業簿記」が試験範囲に加わり、独学だと少し難しい難易度になってしまいます。そのため、もし効率的に勉強を進めたい人、少しでも合格率を上げたい人は「通信講座」の利用がおすすめです。

厳選された教材や映像講義を利用できますし、分からない部分はすぐに質問できますよ。簿記2級に関しては、『簿記2級は転職に有利?難易度や合格率、独学合格のための勉強法を解説』にて詳しく解説していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。