医療系SE(システムエンジニア)への転職ってどうなの?仕事内容や将来性、転職成功のコツまで徹底解説

2025.09.11 PR

医療系SE(システムエンジニア)への転職ってどうなの?仕事内容や将来性、転職成功のコツまで徹底解説

医療系SEは、医療現場のIT化に伴い需要が高まっており、将来性も十分に期待できる職種です。
人命に関わる医療という特殊な分野にIT技術で貢献する医療系SEに就職・転職を考える方もいるかもしれません。
この記事では、医療系SEの仕事内容やキャリアパス、将来性について詳しく解説するとともに、実際に働く上で「きつい」と感じる点や、それと同時に得られる「やりがい」について解説します。
この記事を最後まで読むことで、医療系SEという職種への理解を深め、自身のキャリアプランを検討するための具体的なヒントを得ることができるでしょう。

医療系SEってどんな仕事?大きく分けて2種類

医療系SEってどんな仕事か

医療系システムエンジニア(医療系SE)は、その勤務形態や主な業務内容によって大きく2つの種類に分けられます。
一つは病院などの医療機関に所属して働く「院内SE」、もう一つは医療系システムやパッケージソフトを開発する企業に所属する「医療系システム開発SE」です。
これらは同じ医療分野のSEですが、それぞれの仕事内容には明確な違いがあります。

「院内SE」の仕事内容と特徴

まずは院内SEの仕事内容や特徴について紹介します。

院内SEの仕事内容

院内SEは、病院などの医療施設に所属し、院内の情報システムやIT機器に関する幅広い業務を担当します。
一般企業における社内SEと同様に、病院内で使用されているパソコンやネットワークの管理が主な仕事です。
具体的な業務内容としては、以下のようなものが挙げられます。

院内システムの保守・管理・運用
電子カルテシステム、画像情報管理システム、医事会計システム、検査支援システムなど、病院内の各部門を結ぶ重要なシステムの運用、保守、管理を行います。
これらのシステムは病院運営に直結するため、不具合がないよう常に監視し、安定稼働を維持することが求められます。 

院内ネットワークの管理
病院内のネットワークインフラの設計、構築、保守、運用を担当し、安定した通信環境を確保します。

PCのセットアップやレクチャー
新しいPCの導入や設定、職員への使用方法の指導を行います。

院内システムや機材のトラブル対応
病院内で使用されるシステムやIT機器にトラブルが発生した場合、その原因を特定し、迅速に解決する業務です。

ヘルプデスク業務
医師や医療系技師、看護師、栄養士など、院内でパソコンやネットワークを利用する様々な職種の人々からの問い合わせや要望に対応します。
場合によっては、システムやネットワークだけでなく、「IT機器関連で困ったら院内SEへ依頼」というように、いわゆる「ITに関する何でも屋」のような役割を担うことも多いです。

院内SEは、医療現場で働く人々が効率的に業務を遂行できるようサポートし、病院内のIT関連業務全般を請け負うため、医師や看護師と同様に、ミスが患者の人命に関わることもあるため、強い責任感を持って業務に取り組むことが必要です。

院内SEの特徴

院内SEは、医療現場特有のシステムを扱う社内SEの一種であり、その業務にはいくつかの特徴があります。

残業が少ないなど待遇が良いことも多い
勤務先にもよりますが、比較的残業時間が少なく、休日出勤も少ないなど、ワークライフバランスが取りやすい傾向にあります。大きなトラブルがなければ定時で退社できるケースも多く、安定した職場で働きたい人におすすめです。 

業務範囲が広く幅広い知識が必要
システム保守・管理、PCセットアップ、トラブル時の対応など、業務範囲が広いです。そのため、ITや医療業務に関する幅広い知識が求められます。

人の役に立っているという実感を得やすい
院内SEは、医療現場で医師や看護師などと一緒に働くため、「人の役に立っている」という実感を強く得やすいのが大きな魅力です。自分の仕事が、患者の命や健康を守ることに間接的につながるため、医療機関ならではのやりがいを感じることができます。

安定している
中〜大規模の医療機関で働くことが多いため、雇用が安定しているという特徴もあります。

専門外のことも聞かれる
「ITのことなら何でも知っている」と思われがちで、専門外のことについても相談されることがよくあります。相手の立場に寄り添い、解決策を考えたり、必要に応じてシステム開発者に相談したりと、柔軟な対応力が求められます。

院内SEに求められる知識やスキル

院内SEとして活躍するためには、ITやシステムに関する知識・スキルだけでなく、医療現場ならではの専門知識や、医療従事者との円滑なコミュニケーション能力を心がけましょう。
具体的に求められる知識やスキルは以下の通りです。

医療システムや機器に関する知識
電子カルテシステム、画像情報管理システム、医事会計システム、検査支援システムなど、院内で使用される多様な医療システムや関連機器に関する深い知識が必要です。 

システム運用や保守に関する知識やスキル
システムの安定稼働を維持するための運用管理、トラブル発生時の迅速な対応、定期的な保守作業に関する専門知識が求められます。

PC・サーバー・セキュリティの知識やスキル
院内ネットワーク、PCのセットアップ、サーバー管理、そして機密性の高い医療情報を保護するためのセキュリティ対策に関する知識やスキルが必須です。

医療現場の業務に関する理解
医師や看護師、医療事務スタッフなどの医療従事者が日常的にどのような業務を行い、どのような情報が必要とされているかを深く理解することが重要です。これにより、彼らのニーズに応じた適切なITサポートを提供できます。

コミュニケーションスキル
システムに詳しくない医療従事者に対しても、専門用語を使わずに分かりやすく説明する能力が求められます。また、問い合わせ内容を正確に把握し、適切に対応するための傾聴力や問題解決能力も重要です。
院内SEはプログラミングに関するスキルや知識がそこまでなくても務まる傾向にありますが、幅広い業務に対応できる柔軟性と学習意欲が求められます。

「医療系システム開発SE」の仕事内容と特徴

次に医療系システム開発SEの仕事内容や特徴について紹介します。

医療系システム開発SEの仕事内容

医療系システム開発SEは、院内SEとは異なり、医療の業務システムや医療系パッケージソフトの開発をメインで行います。
システム開発会社やソフトウェアベンダー、SIer(システムインテグレーター)に所属し、医療機関向けに特化したシステムやアプリケーションを開発します。
主な業務内容は以下の通りです。

独自の医療業務システム開発・保守・運用
病院独自の医療業務用システムを受託開発したり、医療機関の要望に基づいて個別のシステムを設計・開発します。開発の自由度が高く、それぞれの病院に適したシステムを構築することが可能です。 

医療業務に関するパッケージソフトウェアの開発・保守・運用
幅広い医療機関で使える汎用性の高い医療業務関連のパッケージソフトウェアを開発します。クライアントにとっては費用を抑えられ、導入から運用までの期間も短くできるメリットがあります。

Webサービスやアプリケーションの開発
電子カルテ、予約管理システム、レセプトコンピュータ、健康管理アプリなど、患者や医療従事者が利用するWebベースのサービスやスマートフォン向けアプリケーションの開発・運用も担当します。

医療系システムの開発は、病院内の業務効率化や情報管理など重要な部分を担うことが多く、不具合があると最悪の場合、患者の健康や人命に関わることもあるため、責任重大な仕事と言えます。
そのため、開発するプロダクトは、IT知識・スキルがない医療従事者でもスムーズに使えるよう、高度な安全性と徹底したセキュリティが求められます。
また、医療機関間での情報共有やデータの標準化が進む傾向にあるため、どの医療機関でも使える汎用性の高い医療システムが求められています。

医療系システム開発SEの特徴

医療系システム開発SEは、医療現場に直接貢献するIT技術を提供する職種であり、以下の特徴が挙げられます。

プログラミングに携わりたい人向けの仕事
院内SEとは異なり、プログラミングスキルを用いた開発がメインの仕事となるため、システム開発に深く携わりたい人に向いています。 

医療に関する知識や法律の理解も必要
プログラミングスキルだけでなく、医療業界に適したシステム設計を行うために、基本的な医療業務や医療関連の法律、法令(例:医療ガイドライン(3省2ガイドライン))に関する知識と理解が最低限必要です。常に最新の医療制度や規制に関する知識をアップデートしていく必要があります。

医療現場への貢献度が高くやりがいがある
医療系システムは医療業務に直結するため、それだけ責任も大きくなります。そのため、「開発したシステムを通して医療に携わる人の役に立っている実感が湧き、やりがいを感じる」という人も多いです。多くの患者の命や健康に関わるため、社会貢献度の高い仕事として大きな達成感を得られます。

業務量が多くなりがち
システム開発という仕事の性質上、納期が近い時期やシステムローンチ直後、またはトラブルが発生した際には業務量が大幅に増加する傾向があります。特に、医療システムは24時間365日の稼働が求められることもあり、緊急時には深夜や休日であっても即座の対応が求められることがあります。

安定したキャリアを築ける
医療業界は常に必要とされており、医療の進歩に伴い新しい技術に対応したシステム開発の需要が生じるため、医療システム開発は常にニーズが高い仕事です。開発スキルを伸ばすことで、安定したキャリアを築くことが可能です。

医療系システム開発SEに求められる知識やスキル

医療系システム開発SEは、システム開発に関する知識やプログラミングスキルが必須となるだけでなく、医療分野特有の専門知識も求められます。
具体的に必要となる知識やスキルは以下の通りです。

医療システムや機器に対する知識
開発対象となる医療システムや関連機器の機能、構造、連携に関する深い理解が必要です。 

システム開発に必要なプログラミングスキル
実際にシステムを開発するためのプログラミングスキルが最も重要です。Java、PHP、Pythonなどの医療系SEが使用する頻度が高い言語のスキルを上げておくとよいでしょう。

医療分野に関する業務や法律に関する知識
医療業界に適したシステムを設計するためには、基本的な医療業務の知識に加え、医療ガイドライン(3省2ガイドラインなど)や関連する法令を深く理解している必要があります。これにより、法規制を遵守した安全で効果的なシステム開発が可能になります。

責任感と学習意欲
人命に関わるシステムを扱うため強い責任感が求められ、また医療技術やIT技術の進歩に対応するための継続的な学習意欲もを心がけましょう。

コミュニケーション能力
顧客である医療機関のニーズを正確に把握し、それをシステム要件に落とし込むためのヒアリング能力や提案能力が求められます。
これらのスキルと知識を兼ね備えることで、医療系システム開発SEとして高く評価され、幅広いキャリアパスを築くことが可能になります。

医療系SEの平均年収

医療系SEの平均年収

院内SEや医療系システム開発SEの年収は以下のようになっています。

職種 平均年収
社内SE(院内SEを含む) 510万円
医療機器メーカー 520万円
パッケージソフト 512万円
システム開発 512万円

院内SEも含まれる社内SEの平均年収は510万円であり、医療機器メーカーのソフト系エンジニアの平均年収は520万円です。
同調査におけるソフト系エンジニア全体の平均年収が525万円、パッケージソフト・ミドルウェア開発やWeb系のシステム開発のエンジニアの平均年収が512万円であることから、医療系SEの年収はエンジニアの平均と同程度の水準にあると言えるでしょう。
医療分野に関する専門知識が必要で重要な役割を担う医療系システムの開発であっても、他のSEと同様に専門職の一つであるため、年収に大きな差が出るわけではありません。
ただし、院内SEは残業が少ない傾向にあるため、開発会社のエンジニアと比べると残業で稼ぐのは難しい場合があります。
収入アップを目指す場合は、長く働いて着実にキャリアアップしていくことが重要になります。

医療系SEがきついと言われる理由

医療系SEがきついと言われる理由

医療系SEは、医療現場のIT化に不可欠な職種ですが、一般的なSEとは異なる特性から「きつい」と言われることがあります。
その背景には、以下のような医療という特殊な環境で働くことによる独特の負担が存在します。

  • 現場からのプレッシャーや責任
  • 残業や休日出勤
  • 人間関係
  • 医療知識など業界に対する深い理解

現場からのプレッシャーや責任

医療系SEは、人命に直接関わるシステムを扱うため、重大な責任と心理的なプレッシャーがかかります。
院内SEの場合、システムトラブルへの対応や問い合わせ対応が主な業務ですが、システムの不具合が患者の診療に直接影響を与える可能性があるため、その責任は大きいです。
医療系システム開発SEの場合だと、開発するシステムの多くは24時間365日の稼働が求められ、システムダウンは許されません。
システムトラブルが発生した場合、患者の命や健康に関わる重大な事態に発展する可能性があるため、心理的負担が大きくなります。
常に完璧なシステム運用と迅速なトラブル解決が求められることが、医療系SEの精神的な負担となり、「きつい」と感じる要因となります。

残業や休日出勤

医療系SEの業務では、不規則な勤務時間が避けられない状況がしばしば発生します。
院内SEの場合、システムのリプレイスやPCの入れ替えなどの作業は、通常の診療に影響を与えないよう、夜間や休日に実施することが一般的です。
また、緊急のトラブル対応が必要な場合も、診療時間外での作業となることがあります。
医療系システム開発SEの場合では、システムの納期前や異常発生時には、長時間の残業や休日出勤が発生しがちです。
特に、トラブル対応では、深夜や休日であっても即座の対応が求められることがあります。
不規則な勤務形態は、身体的・精神的な負担となり、仕事のきつさを感じる要因となることがあります。

人間関係

医療系SEの業務では、さまざまな立場の人々とのコミュニケーションを心がけましょう。
特に院内SEは、医師や看護師、事務職員など、立場が異なる多くの医療従事者からの問い合わせに対応しなければなりません。
その際、システムに関する専門的な知識を持たない相手に対して、技術的な内容を分かりやすく説明することが求められます。
同じシステムを使用しているユーザーでも、システムへの理解度には差があり、問い合わせ内容も多岐にわたります。
そのため、各ユーザーの立場や知識レベルに合わせた丁寧な対応が必要です。
このような、それぞれの立場や理解度に合わせた柔軟なコミュニケーション能力の必要性が精神的な負担となり、円滑な人間関係の構築や維持に苦労することも少なくありません。

医療知識など業界に対する深い理解

医療系SEには、IT技術の知識に加えて、医療分野の専門知識も深く求められます。
医療機関では人命に関わる業務を行うため、さまざまな法規制が存在し、それらに準拠したシステム開発や運用が必要です。
特に、医療システム開発SEは、システムの仕様を決める際に関連法規(例:医療ガイドライン(3省2ガイドライン))に抵触しないよう気を付けなければなりません。2023年4月以降は、医療機器を開発する際にサイバーセキュリティへの対応も求められています。
医療従事者との打ち合わせには医療の専門知識が必要で、「医療情報技師」などの資格取得を求められることもあります。
日常業務に加えて、医療分野の法規制や専門知識の学習、場合によっては資格取得のための勉強も必要となり、この学習負担も仕事のきつさを増幅させる要因の一つとなります。

医療系SEのやりがいや楽しいこと

医療系SEのやりがいや楽しいこと

医療系SEは、責任が重く大変な仕事である一方で、多くのやりがいや魅力を持つ職種でもあります。

社会貢献度が高い

医療系SEの仕事は、社会貢献度が高いという特徴があります。
開発・運用するシステムは、多くの人々の命と健康を支える重要なインフラとして機能し、医療従事者の業務効率化にも貢献しています。
例えば、電子カルテシステムの導入により、医師や看護師の事務作業時間が削減され、より多くの時間を患者のケアに充てることが可能になります。
また、医療情報の正確な管理や共有により、医療ミスのリスクを低減することにも貢献できます。
患者と直接接する機会は少ないものの、医療という社会的に重要な分野にIT技術で携わることで、確かな社会貢献を実感することが可能です。
特に「人の役に立つ仕事がしたい」と考える方にとっては、大きなやりがいを感じられる職種と言えるでしょう。

医療業界特有の専門性が高められる

医療系SEとして働く中で得られる専門知識や経験は、今後さらに市場価値が高まると予想されます。
医療現場は、少子高齢化による医療需要の増加、人材不足、地域による医療サービスの格差など、さまざまな課題に直面しており、これらの課題解決にITシステムが果たす役割は年々増大しています。
医療費の規模も約46兆円と大きく、今後も成長が見込まれています。
医療現場特有の業務フローや規制への理解、機密性の高い医療情報の取り扱いに関するノウハウなどは、他の業界では得られない貴重な専門性です。
このような知識や経験は、今後さらに需要が高まると予想され、自身の市場価値向上に直接つながります。

キャリアの幅を広げられる

院内SE 院内SEの継続 働いている病院で経験を重ね、別の病院へ院内SEとして転職することで、新たなポジションでの経験を積むことができます。
総合病院や大学病院のような大規模な病院であれば、複数の院内SEが在籍し、経験を積むことで情報システム部門の責任者を目指す可能性もあります。
社内SEへのキャリアチェンジ 院内SEは企業における社内SEと同様の役割を担うため、その経験を活かして、別の業界の社内SEとしてチャレンジすることも可能です。
医療情報技師・診療情報管理士 より専門的な知識やスキルを持って働きたい、キャリアアップを目指したい場合は、医療情報技師や診療情報管理士などの資格を取得するのもおすすめです。
医療系システム開発SEへのキャリアチェンジ 医療系の知識やシステムの保守・運用のスキルがある人の中には、システム開発に興味を持ち、キャリアアップのために医療系システム開発SEを目指す人もいます。
院内SEはプログラミングスキルを求められる機会が少ない傾向にあるため、「もっとプログラミングをしたい」と考える場合に有効な選択肢です。
医療系システム開発SE 開発ディレクター・プロジェクトマネージャー(PM)へのステップアップ 医療系システム開発SEとして経験を積み重ね、チームをまとめるシステム開発ディレクターや、複数のチームとプロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャー(PM)にステップアップするパターンが多いです。
院内SEへのキャリアチェンジ 医療系のシステム開発に携わっていた経験と知見を活かし、働き方が比較的安定している院内SEにキャリアチェンジする人もいます。
他の業界のシステムエンジニアへのキャリアチェンジ プログラミングスキルは他の業界のシステム開発でも応用が可能です。
そのため、医療系以外のシステムエンジニアとしてキャリアチェンジし、キャリアの幅を広げることもできます。

医療系システム開発SEは、医療系システムの開発知識とシステムエンジニアとしてのスキルがあるため、さまざまな職種に応用していくことができ、キャリアの幅が広いと言えます。
より専門性の高い医療系SEとして活躍したい場合は、医療IT分野に関する資格取得や関連知識、他言語スキルを身につけることで、さらに活躍の場を広げることができるでしょう。

医療系SEに向いている人の特徴

医療系SEに向いている人の特徴

医療系SEは、専門的な知識と技術だけでなく、その業務の性質上、以下のような特定の人間性や志向性を持つ人が特に向いていると言えます。

  • コミュニケーションが苦にならない
  • 社会貢献に興味がある
  • DX化に興味がある
  • 責任感が強い、決断力がある

コミュニケーションが苦にならない

医療系SEの仕事では、日常的に多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。
特に院内SEの場合、院内システムに関する問い合わせやトラブル対応が主な業務となるため、医療従事者との頻繁なやり取りが発生します。
システムの操作方法について質問を受けた際には、相手の理解度に合わせた説明が必要です。
同じ内容を説明する場合でも、人によって使用する言葉や説明の粒度を変える柔軟性が求められます。
技術的な内容を非技術者に分かりやすく説明できる能力は、医療系SEにとって重要なスキルです。
医療システム開発SEの場合も、顧客である医療機関のニーズを正確に把握するために、丁寧なヒアリングと提案が必要です。
このように、医療系SEは常に人とのコミュニケーションが必要な職種であり、相手に応じて柔軟なコミュニケーションスタイルを取れる人が向いています。

社会貢献に興味がある

医療系SEの仕事は、人々の健康と生活の向上に直接貢献できるため、社会貢献への強い興味を持つ人が適しています。
開発・運用するシステムが、患者の命や健康を守る医療現場を支えているという実感は、大きなやりがいにつながります。
直接患者と接する機会は少なくても、医療という社会的に重要な分野にIT技術で貢献できることに喜びを感じる人は、この職種で長く活躍できるでしょう。

DX化に興味がある

医療業界はまだDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいない分野が多く、先端技術を活用してイノベーションをもたらすことに興味を持ち、挑戦する意欲がある人が医療系SEとして適性が高いと言えます。
医療現場の効率化、高いレベルでの医療提供のためには、医療系システム開発が今後も必要不可欠であり、医療系SEの需要は常にある状態です。
AI(人工知能)・機械学習・画像認識といった最新技術を医療システムに導入する環境整備が進められているため、新しい技術への好奇心と探求心がある人は、この分野で大きく貢献できる可能性があります。

責任感が強い、決断力がある

医療系SEが扱うシステムは、人命に直接関わる重要なものであり、システムトラブルが発生した際には、迅速かつ適切な判断と強い責任感が求められます。
緊急時の対応では、システムの一時停止や代替手段の提案など、重要な決断を迫られることが少なくありません。
このような状況下で優柔不断な態度を取ると状況が悪化してしまう可能性があるため、限られた情報の中で最善の判断を下す能力が必要です。
決断力は経験を通じて培うことができるものであり、日頃から緊急時の対応手順を学び、さまざまなケースを想定したシミュレーションを行うことで、迅速な判断力を身につけることが可能です。

未経験から医療系SEになることは可能か?

未経験から医療系SEになれるのか

結論から言うと、未経験から医療系SEになることは可能です。
ただし、専門的なスキルと知識が求められるため、その難易度は比較的高いと言えます。
特に「院内SE」は、働ける病院が絞られており、すでに経験豊富なSEが在籍していることが多いため、他の職種に比べて求人数が少なく、未経験から採用されるのは難しい傾向にあります。
院内SEは中途採用が前提となることがほとんどです。

一方、「医療系システム開発SE」の場合は、プログラミングに関する知識やスキルがあれば採用されるケースもあるため、院内SEに比べて転職しやすいと言えるでしょう。
未経験から医療系SEを目指すのであれば、医療系システム開発SEを目指すのがおすすめです。
未経験から医療系SEを目指す場合は、以下のポイントを押さえることが重要です。

プログラミングスキルの習得
医療システム開発でよく使われるJava、Python、PHPといったプログラミング言語の知識を身につけ、実際にプログラムを作成できる技術力を習得することが望ましいです。 

資格取得
医療系SEの仕事につながる資格や検定試験(後述)に合格していれば、志望度の高さや熱意だけでなく、システム関連の基本的な知識があることをアピールできます。

プログラミングスクールや通信講座の活用
独学では挫折してしまう人も多いため、プログラミングスクールや通信講座を活用して体系的に学ぶことが効果的です。
スクールによっては転職活動の支援までしてもらえるため、未経験からの転職の不安を解消できます。

転職エージェントの活用
医療業界に特化した転職エージェントを利用して、未経験者向けの求人を紹介してもらうのも有効な手段です。
未経験から挑戦することは大変な側面もありますが、計画的な準備と努力によって医療系SEになることは十分に可能です。

医療系SEのキャリアアップに役立つ資格

医療系SEのキャリアップに役立つ資格

医療系SEとして活躍し、キャリアアップしていくためには、ITに関する基礎知識・スキルから医療IT分野に関する専門知識・スキルまで、幅広い知識やスキルを身につけることが重要です。
求人の中には、特定の資格保有者を歓迎条件としているケースも多く、以下の専門資格を持っていると転職やキャリアアップに有利に働くことが多いです。

  • 医療情報技師
  • 基本情報技術者
  • 診療情報管理士
  • 情報処理安全確保支援士

医療情報技師

医療情報技師は、医療IT分野におけるプロフェッショナルとして、医療システムの企画、導入、運用、保守、医療関連データベースの構築、情報分析などの知識とスキルを証明する資格です。

試験内容 「情報処理技術系」「医療情報・システム系」「医学・医療系」の3つの科目で構成されており、医療系SEとして必要となる医療とシステムに関する幅広い知識が問われます。
受験資格 受験資格は特になく、誰でも挑戦できます。
合格率と実施時期 合格率は約30%〜34%程度で、年1回、8月に実施されます。
重要性 医療IT分野の資格の中では優先的に取得しておくと良い資格として認識されており、転職やキャリアアップに役立つとされています。

医療情報技師の資格を持つことで、医療業界におけるシステムエンジニアとしてのキャリアパスが広がり、病院や医療機関の情報システム導入や改善、クラウドサービスの活用など、患者の医療に貢献する仕事を担うことが期待されます。

基本情報技術者

基本情報技術者は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格で、IT技術者としての基本的な知識やスキルを証明するものです。

試験内容 「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」と幅広い知識が問われ、IT技術者として仕事をする上で必要な基礎知識を網羅的に学習できます。
受験資格 受験資格はなく、誰でも挑戦しやすいのが特徴です。
合格率と実施時期 合格率は20%〜30%程度で、試験は年2回、4月〜5月(春期)と10月〜11月(秋期)に実施されます。
重要性 ITエンジニアとして働く場合の登竜門として考えられており、IT技術者として転職を有利に進めていくために積極的に挑戦すべき資格とされています。

診療情報管理士

診療情報管理士は、電子カルテのシステムをはじめとした医療情報のデータ分析を行う専門家です。患者の診療情報を中心に、人の健康に関する情報を国際統計分類などに基づいて収集・管理し、データベースから情報を抽出・加工・分析することで、施設の経営や研究など、さまざまなニーズに対して情報提供を行います。

試験内容 診療情報管理士認定試験では、「臨床医学総論など臨床医学に関する科目が多い基礎分野」と「医療管理などに関する科目が多い専門分野」の2分野から出題されます。
受験資格 受験するためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
日本病院会が実施する2年課程の「診療情報管理士通信教育」を修了すること。
日本病院会が認定した大学・専門学校(3年制以上)で特定の単位を修得すること。
未経験から医療系SEになり、仕事を継続しながらこの資格を目指す場合、通信教育の受講が現実的な選択肢となります。
高校・短大・専門学校卒業以上の学歴がある方、または高卒者で病院に勤務している方であれば通信教育を受けることが可能です。
合格率と実施時期 合格率は約60%程度で、試験は毎年2月の年1回実施されます。
重要性 受験資格のハードルは高いですが、医療系データの専門家として働いていきたい場合には有効な資格であり、「院内SEとして、将来的により専門性の高い仕事をしたい」という人におすすめです。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士は、経済産業省が認定する国家資格で、情報セキュリティに関する知識やスキルを有していることを証明します。

試験内容 「臨床医学総論など、臨床医学に関する科目が中心の基礎分野」と「医療管理など、医療情報管理に関する科目が中心の専門分野」の2分野から出題されます。
受験資格 次のいずれかの要件を満たす必要があります。
日本病院会が実施する2年課程の「診療情報管理士通信教育」を修了
日本病院会が認定した大学・専門学校(3年制以上)で特定の単位を修得
未経験から医療系SEとして働きながら資格取得を目指す場合、通信教育の受講が現実的でしょう。
高校・短大・専門学校卒業以上、または高卒で病院勤務の方は通信教育の受講が可能です。
合格率と実施時期 合格率は約60%程度で、試験は毎年2月の年1回実施されます。
重要性 医療分野におけるセキュリティの重要性が高まる中で、この資格は医療系SEにとって価値のあるものとなります。

令和5年厚生労働省告示第67号により、2023年4月以降に医療機器を開発する際にはサイバーセキュリティへの対応が求められるようになりました。
その背景には、世界的にサイバー攻撃が急増していることがあります。
情報処理安全確保支援士は、情報システムの企画から運用まで、また情報セキュリティマネジメントに関するさまざまな業務に従事し、組織の事業やサービスが安全に運営できる環境を構築する役割を担います。

医療系SEへの転職を成功させるコツ

医療系SEへ転職成功させるコツ

医療系SEへの転職を成功させるためには、計画的な準備と戦略的なアプローチが重要です。
医療系SEへ転職する際は、以下の点に気を付けてみてください。

  • 業界や企業の特徴を調査する
  • 自己分析をして自分が医療系SEに向いているか確認する
  • キャリアプランを検討する
  • 転職エージェントを活用する

業界や企業の特徴を調査する

転職後のミスマッチを防ぐためにも、医療系IT業界や志望企業についてしっかりと調査するようにしましょう。
各企業が持つ独自の特徴や強みを理解することで、その企業でしか経験できない価値を見出すことができます。
このような調査を通じて、「なぜこの企業を選んだのか」「他社との違いは何か」という採用時の質問に対しても、具体的な根拠を持って答えることが可能になります。
結果として、採用担当者への説得力のある応答が可能となり、選考通過の確率を高めることにつながります。
医療系のWebサービス会社など、直接的な業務システムの開発以外にも、Webサービスやスマホアプリケーション開発で医療に関わる仕事をする選択肢もあります。

自己分析をして自分が医療系SEに向いているか確認する

自己分析は、転職後のミスマッチを防ぐためにしておいたほうがよいです。
業界研究を進める過程で、自分自身と向き合い、キャリアの方向性を見極めることが大切です。
「将来実現したいことは何か」「自分にとって理想の企業とは」といった問いかけを通じて、自身の強みや目標を客観的に理解することが可能になります。
医療系SEに必要とされる資質、たとえばコミュニケーション能力や決断力、社会貢献への意欲と、自身の特性を照らし合わせることで、職種との相性を判断することができます。
このように自己理解を深めていくことで、より納得度の高い転職につなげることが可能です。

キャリアプランを検討する

キャリアプランを具体的に描くことは、転職の成功につながります。
キャリアプランを検討することで、現在の自分のスキルと将来やりたいことの間にあるギャップを認識することができます。
そのうえで、そのギャップを埋めるための計画を立てることが必要です。
まずは、現在の自分が「できること」を客観的に整理します。そして、目標達成のために不足している要素を特定し、転職前から準備を始めることが重要です。
例えば、プログラミング言語の習得や、医療情報技師の資格取得などを計画的に進めることで、面接時にスキルをアピールしたり、転職後の業務に役立てたりできます。
医療系SEのキャリアパスは幅広いため、自己分析と合わせて自分に合った選択肢を見つけることが大切です。

転職エージェントを活用する

未経験分野への転職では、さまざまな不安や疑問が生じるものですが、そんな時に効果的なのが転職エージェントの活用です。
転職エージェントでは、キャリアアドバイザーによる転職市場に関する情報提供や求人の提案、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策まで、専門的なサポートを無料で受けられます。
特に医療系SEへの転職では、業界特有の知識や資格要件などについて、経験豊富なアドバイザーからの助言が役立ちます。
転職エージェントを活用することで、業界の最新動向や求人企業の詳細な情報も得られ、より効率的な転職活動をすることが可能です。
医療系SEの求人を探す際には、取り扱い求人数が多い大手転職エージェントだけでなく、エンジニア求人を豊富に取り扱っている転職エージェントを選ぶことがポイントになります。
複数の転職エージェント(2〜3社)に登録することがおすすめされており、それぞれの保有求人の特徴やサポートの質が異なるため、初回面談を通して自分と相性の良いところに転職サポートをお願いすることで、効率的に納得のいく転職先を見つけられます。
エージェントは、非公開求人を含む豊富な求人情報を提供し、個人の経歴や希望年収に沿った求人を紹介してくれるため、自分に合った企業に出会いやすくなります。