行政書士の平均年収や仕事内容を解説!報酬の高い業務内容や年収アップさせる方法

2024.10.04 資格に関するコラムPR

行政書士の平均年収や仕事内容を解説!報酬の高い業務内容や年収アップさせる方法

行政に関わる仕事として有名なのが『行政書士』です。法律の知識が必要な国家資格ということもあり、将来のことを考えて取得を考えている人も多くいます。しかし、「行政書士って難しい資格って聞くけど、実際に取得すると稼げるの?」と疑問に思う方も意外と多いです。

この記事では行政書士の仕事内容を解説しながら、どのくらいの年収に期待できるのか解説していきます。どういった業務に携わることで年収が高いのか、年収アップさせるためのコツなども解説していますので、高収入を狙う人はぜひ参考にしてみてください。

行政書士の主な仕事内容

まずは、行政書士がどのような業務を行うのか見ていきましょう。イメージしやすいものもあれば、「そんなことまでするの?」と思われるような業務にあるかもしれません。

契約書作成

行政書士の一番多い業務は、さまざまな内容の契約書を作成することです。例えば、相続関係に対応する「権利義務に関する書類作成」や、会社に関係する会計・調査に対応する「事実証明に関する書類作成」などがあります。

相談業務

それらの書類作成のためには、依頼者からさまざまな相談を受けることになり、個人・業務上の秘密に接することも少なくありません。そのため、行政書士には行政書士法で「守秘義務」が課せられています。「相談業務」は、書類を作成しない場合でも依頼者に相談料の請求が可能です。

官公署提出書類作成・提出の代行

最も重要かつ仕事量が多いのが「官公署提出書類作成・提出の代行」です。その中でも依頼されることの多い業務が「許認可申請」に関する書類作成です。収集・作成する書類の数が非常に多く、種類だけでも1万以上あるなど、専門知識のある行政書士だからこそ扱える内容となっています。

※官公署とは各省庁・都道府県庁・市役所・区役所・町役場・村役場・警察署・消防署・税務署などのこと

行政書士の平均年収はどのくらい?

ここからは、行政書士の平均年収について解説していきます。実際は業務形態や職種、年齢、勤務年数によって異なりますので、あくまで目安としてイメージしてみてください。まず、『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、全国の行政書士の平均年収は551.4万円という結果でした。

業務形態による平均年収

上記では全国の平均年収という括りで表しましたが、ここからは業務形態別にどのくらいの年収に期待できるのか解説していきます。

登録のみ

行政書士として働くためには、「行政書士登録」を行う必要があります。これが行政書士登録のみという状態なのですが、登録しただけでは年収は発生しません。あくまで行政書士として働くことが認められた状態であり、その後にどういった業務形態に従事するかはその方次第なのです。

因みに、企業に属する勤務行政書士の場合は「勤務先の行政書士もしくは行政書士法人と交わした雇用契約書の写しが必要」、独立開業する場合は「事務所の現地調査を受ける」という条件があります。登録する前に各条件をしっかりと確認しておきましょう。

勤務行政書士

企業に属する勤務行政書士の場合、約500~700万円が相場とされています。勤務先としては、行政書士事務所か一般企業になることが多いです。企業に属しているため収入に安定感があり、スキルを伸ばすことで昇給するチャンスもあります。

それに加えて、経験が少なくても最初から年収が高いのも特徴です。将来的な成長を見込まれることも多く、若手からでも活躍できる職場となります。ここで経験を積み、独立・開業の道へ進むこともできるでしょう。

兼業(社労士や税理士など)

行政書士の知識や業務は、社労士・税理士が行う業務でも活かすことができます。そのため、行政書士をやりながら社労士・税理士の業務も行っているケースがあります。そうすると年収も500万円以上は安定して得られ、経験を積めば1,000万円以上になることも期待できるでしょう。

ただし、行政書士資格と他の士業関係の資格を取得すると考えた場合、かなりの時間を勉強に費やさなくてはいけません。行政書士だけでも2年以上かかることもありますし、税理士になると3年以上かかることもあります。年収には期待できますが、勉強する時間を確保できる人向けと言えるでしょう。

独立・開業(行政書士専業)

どこにも属さず、独立・開業した場合の年収は、5年以内だと約300~400万円が相場とされています。設立したばかりだと信頼性や実績もありませんし、どうしても顧客や依頼は少ない傾向にあるからです。経営が軌道に乗るまでは高収入には期待できない可能性があります。

しかし、顧客からの信頼を得て依頼も増えていけば、それだけ年収も上がっていきます。次第に500万円台に乗り、多くの社員を抱えるほどの規模になれば1,000万円を超えることも珍しくありません。良くも悪くも安定しない業務形態ですので、独立する際にはしっかりと計画を立てるようにしましょう。

業務内容による平均年収

続いて、業務内容によってどのくらい平均年収が変わるのか見ていきましょう。

契約書作成業務

契約書作成業務に携わる場合、約700~950万円ほどの年商になります。そこから契約書作成までに使用した諸経費などが引かれますので、実際に行政書士が受取れる金額はもう少し少ないです。契約書作成の場合、案件をこなせばこなすほど収入が上がりますので、高収入が狙える業務と言えるでしょう。

おすすめは法人へのサポート業務です。個人よりも1案件あたりの相場が高く、1回こなすだけで普通のサラリーマンの月給くらい稼ぐこともあります。ただし、契約書はさまざまな企業や人の生活に関わる大切な書類ですので、ミスって信頼を落とさないよう注意しましょう。

官公署提出書類作成・提出の代行

こちらも上記の契約書作成業務と同じく、年収が約700万円~と非常に高いのが特徴です。店舗の開業申請やビジネス上で必要な許可認証などに従事することが多いため、1案件ごとの単価が高い傾向にあります。法人・個人どちらからも依頼されることがあり、経験を積めば多くの案件を依頼されることになるでしょう。

相談業務

業務内容で最も年収が低いのが相談業務です。こちらは240~300万円程度が年収とされており、行政書士として働くとなると物足りないと感じるでしょう。ここまで年収が低いのにはいくつか理由がありますが、一番は「行政書士が携われない独占業務に関する相談があるから」です。

せっかく相談してくる顧客が多かったとしても、「行政書士の資格だとその分野はアドバイスできないのです…」となれば、顧客はどんどん減っていくでしょう。このように、もし行政書士で高い年収を目指すなら相談業務以外がおすすめです。

他の国家資格との年収を比較

続いて、他の国家資格との年収を比較してみましょう。

資格 平均年収
行政書士 550~750万円
司法書士 500~1,000万円
弁護士 800~1,200万円
税理士 700~850万円
社労士 500~700万円

士業は法律を取り扱うこともあり、一般的な会社員よりも平均年収は高い傾向にあります。企業に勤務するケースもあれば、独立・開業するケースもあるなど働き方に幅があるのも士業ならではの特徴と言えるでしょう。表だけを確認した場合、行政書士は士業の中では年収が低いことが分かります。

行政書士よりも高い資格

行政書士よりも年収が高い資格は、以下のようなものになりました。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士

医師や弁護士は年収が高いイメージがありますが、そのイメージ通り弁護士は平均年収が800~1,200万円と行政書士の2倍近く得ることができます。あらゆる法律のスペシャリストであり、取り扱える内容も行政書士の非ではありません。独立・開業できた場合、3,000万以上の年収にも期待できます。

名称が似ているため同じようなイメージを持たれやすい司法書士ですが、年収は司法書士の方が上です。専門性が大きく異なり、1案件あたりの単価も異なります。勤務型・独立型問わず、どちらも行政書士よりも稼ぎやすい資格と言えるでしょう。

税のスペシャリストでもある税理士も、行政書士より高い年収に期待できる資格です。公認会計士も税理士として働けるため、さらに大きく稼ぐことができます。このように、専門性に振り切った資格であれば、行政書士よりも年収が高い傾向にありますね。

社労士は行政書士よりも年収が低い

唯一、行政書士よりも年収が低いのが「社労士」です。厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、社労士の全体の相場が362万8800円でした。ここだけで考えると、勤務型の行政書士の方が年収が高いことが分かります。

勤務を続ければ社労士も年収が上がっていくため、最終的には500~700万円ほどの年収に落ち着くでしょう。ただ、行政書士は社労士以上に専門性の強い業務に就くため、即戦力としても期待されます。つまり、スタートの時点でも行政書士の方が高い可能性があります。

では、独立・開業後はどうなるのでしょうか。社労士も独立・開業できれば1,000万円以上の年収になる可能性はありますが、行政書士の独立・開業と比較して難しいとされています。安定性を考えるなら、勤務型でコツコツ稼いだ方が社労士は良いかもしれません。

行政書士の年収をアップさせる方法

比較的安定した年収が得られる行政書士ですが、少しでも年収アップを狙いたい人は以下のようなことを意識してみましょう。

積極的に営業していく

行政書士は自分一人では成立しない仕事です。書類作成や申請書の作成を依頼してくる顧客がいるからこそ、行政書士として働き収入を得ることができます。つまり、「自分を信頼してくれる顧客を見つける」ことが、年収アップにつながるのです。

そのため、行政書士になったら積極的に行動してみましょう。顧客に自分の存在をアピールし、信頼して仕事を依頼できることを分かってもらうのです。そうすることで、単価の高い仕事を依頼してくれる可能性も上がります。独立・開業する場合も、積極的に営業して顧客獲得を目指してみましょう。

営業成功のコツ
  • 自分の強みを作ってアピールする
  • その強みを活かせる顧客層を把握しておく
  • コミュニケーション能力を挙げておく

報酬の高い業務を中心に行う

各業務には単価が設定されていることがあり、1案件あたりの単価が高い業務を選択することで年収アップを狙えます。

業務内容 報酬額
建設業許可申請 1案件当たり:15~20万円
帰化許可申請 1案件あたり:約20~30万円
創業融資支援 融資を受けられた金額の3~5%
NPO法人設立認証 1認証あたり:約15~25万円
旅館業許可申請 1案件あたり:約20~30万円
風俗営業許可申請 1案件あたり:約24万円

建設業許可申請

建設業許可申請とは、建設工事の完成までを請け負う営業を行う場合に取得すべき許可のことを指します。国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要になるため、準備する書類が非常に多いです。慣れていないと、この申請だけで半年以上かかるケースもあります。

申請してから審査が終わるまでに2~3ヶ月かかることもあり、申請だけでも早めに終わらせようと行政書士に代行を依頼するケースが増えています。1案件あたり15~20万円ですので、年に30案件担当すれば450~600万円の年収に期待できるでしょう。

帰化許可申請

帰化許可申請とは、外国籍の方を日本国籍として認定する手続きのことです。報酬の目安は1回の申請で約20~30万円ほどになります。1年で50回帰化許可申請業務に携われば、それだけで年収1,000万円以上を目指すことが可能です。しかし、帰化許可申請業務は非常に複雑な内容になっています。

帰化するためには膨大な書類が必要になり、申請書類の作成にも慎重にならなくてはいけません。法務局との打合せも必要で、その方の事情に合わせた対応も必要です。そのため経験やノウハウが重要視されますので、いきなり1人で担当することはほぼありません。

創業融資支援

創業したばかりで社会的な信用や実績がなく、資金力も乏しい会社が事業資金を借りられるようになるために支援するのが創業融資支援です。どのような事業を行っていくのか、将来的に返済できる能力はあるのかなどを証明する事業計画書の提出が必要になるのですが、その作成代行を行政書士が行います。

金融機関が納得できるほどの品質が必要になるため、文章作成スキル・経験が必要になります。他の業務とは異なり、固定で報酬を貰うことは少ないです。融資を受けられた際の3~5%ほどが報酬として支払われる成功報酬制のケースが多いため、例えば1,000万円融資されれば30~50万円ほど受取れます。

NPO法人の設立認証

ボランティア活動のような非営利活動を行う団体を法人化したものを「NPO法人」と呼びます。法人化することで税制上の優遇を与えられるため、多くの団体が法人化を目指しているのです。しかし、どの団体でも法人化できるわけではありません。法人化するためには、行政庁にて認証を受ける必要があるのです。

その認証を受けるためには書類の収集・作成が必要で、それらを行政書士に依頼するケースが増えています。その他にも行政庁との相談も行うなど、多方面からサポートすることになります。認証業務を受ける流れで、約15~25万円ほどの報酬を得ることが可能です。

旅館業許可申請

ホテルや旅館といった宿泊施設を経営するのに必要なのが「旅館業許可」です。行政書士であれば、この許可申請を代行することができます。必要書類の収集や作成、申請書の届出、自治体との交渉・相談など、さまざまな角度から手助けしていきます。

許可を取る条件は厳しく、宿泊施設としての基準を満たしていることを証明しなくてはいけません。施設の見取り図や配管図、配置図なども用意し、認定されるまでサポートしていきます。1案件こなすと約20~30万円の報酬に期待でき、「消防法令適合通知書の申請」なども依頼されれば、その分だけ報酬は増えるでしょう。

風俗営業許可申請

キャバクラやパチンコ店、麻雀店などは風俗業としてまとめられ、運営するには風俗営業法の許可が必要になります。キャバクラやバーのことを「接客飲食店」、パチンコ店や麻雀店のことを「遊技場」と分類し、それぞれ規則内容が異なります。このような複雑な手続きを行政書士に依頼することも多いです。

店舗の規模などにもよりますが、1案件こなすと約24万円の報酬を得ることができます。大型店やグループ店になると、1案件あたり40万円を超すことも珍しくありません。報酬が大きい分だけ実力を求められますが、業界自体が縮小傾向にあるため将来性は微妙とも言えるでしょう。

ダルライセンス取得で業務の幅を広げる

もし勉強する時間を確保できる場合は、行政書士の他に資格を取得する「ダブルライセンス」を検討してみましょう。資格が2つあれば業務範囲が広がるだけでなく、互いの専門知識で弱みをカバーすることもできます。上手く活用すれば、大手企業への転職や昇給も見込めるでしょう。

ダブルライセンスのおすすめとしては、「宅建士」を挙げたいです。不動産売却に関する取引をする場合、宅建士が各種契約書の手続きを行います。つまり、行政書士として行う手続きと、宅建士として行う手続きを同時に進められるのです。

もう一つのおすすめ資格は「税理士」です。行政書士として書類手続き代行をやっていると、税金に関する提案やアドバイスを求められることがあります。その際に、税理士資格があれば適切な内容を伝えることができますし、将来的にコンサルティング業務を依頼されることもありますよ。

専門性を磨く・新しい知識を身に着ける

行政書士として活躍するには、専門性をアピールする必要があります。専門性が認められれば、それだけ顧客が増えていきます。顧客が増えれば報酬も増えるため、自動的に年収も増えていくのです。できれば行政書士の勉強に加えて、業務に関する知識を身に着けるよう意識してみましょう。

そして、新しい知識を身に着けたり、新しいジャンルに挑戦するのもおすすめです。例えば、ドローンや民泊に関する業界は歴史が浅く、競争相手もまだまだ少ないです。つまり、その分野に特化した知識を身に着ければ、それだけで依頼も増えていくでしょう。

とくにドローンに関する知識は身に着けておくと便利です。2015年に航空法改正によって、ドローンに対しても制限が入りました。今後もドローンの需要は伸びていくことが予想されますし、飛行場所が広がれば広がるほど行政書士への相談が増えていくでしょう。

行政書士になるための3つのルート

最後に、行政書士として働くための流れについて3ルート紹介していきます。自分にとってどのルートがベストなのか検討してみましょう。

①:行政書士試験に合格する

最も分かりやすいルートが、「行政書士試験に合格する」というものです。行政書士を目指すほとんどの人がこのルートになります。日本行政書士会連合会が実施したアンケートでは、約7割の人が行政書士試験合格ルートにて行政書士になったと回答しているほどです。

しかし、合格率は例年10~20%前後の試験なので決して簡単な試験ではありません。勉強時間の目安も初学者なら1000時間ですし、合格まで2~3回受験する方もいます。多い方になると5回以上受験するケースもありますが、受験資格はないため誰でも受験することができます。

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②:行政事務として一定年数の経験を積む

行政書士には「特認制度」というものがあります。この制度は、公務員として行政事務に一定期間従事することで、行政書士資格を申請できるものです。アンケート結果によると、全体の約15.5%が行政事務経験を経て登録したようです。

認定される条件について

  • 国もしくは地方公共団体の公務員
  • 行政執行人もしくは特定地方独立行政法人にて役員または職員

上記内容で「高卒17年以上」「中卒20年以上」経験することで、行政書士登録が可能になります。そのため、本ルートでは最低でも35歳前後にならないと行政書士として登録することができません。

③:弁護士や税理士などの資格を取得する

以下の資格を取得していると、資格免除で行政書士になることができます。

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 税理士
  • 公認会計士

元から上記資格を取得している人にはおすすめルートですが、行政書士のために上記資格取得を目指すのはおすすめできません。なぜなら、どの資格も行政書士試験よりも取得難易度が高いからです。勉強時間も3000時間以上になることも珍しくありません。

最も難易度が低いであろう税理士試験でも平均して2~3年の勉強時間が必要とされています。年収という面で考えても、行政書士はこの中だと低いです。最初に行政書士資格を取得してからダブルライセンスとして他資格取得を目指すのはおすすめですが、逆のケースは現実性がほとんどありません。