【24卒】高校新卒採用に関する企業動向調査(2023年11月)
2024.03.08 ニュースリリース
【24卒】高校新卒採用に関する企業動向調査(2023年11月)
11月時点で採用を終えたのは44.8%、応募なしは16.5%。「先生との関係構築」に注力。
高校生の就職を支援している「ジンジブ」(本社・大阪府大阪市)は、新卒採用担当者向けに2024年卒の採用募集人員の増減や充足状況、採用活動での取り組みに関する実態を調査すべくアンケートを実施いたしましたのでご報告いたします。
(調査期間:2023年11月8日~11月18日、有効回答数:647人、うち高卒採用実施は346人)
<調査結果サマリー>
- 24卒高卒採用の募集人数「増やす」「新たに始める・再開する」が9%。
- 昨年度に続き増加傾向。理由は「若手人材の採用に力を入れるため」がトップ。
- 24卒高卒採用「計画通り充足した」企業は9%、「応募なし」16.5%と採用競争が激化。
- 24卒採用成功のカギは「先生との関係構築」に加え、デジタルや対面での「高校生への直接発信」。
■アンケートの実施背景
厚生労働省の発表では、2024年3月卒の高校生の求人倍率は2023年9月末時点で3.79倍(前年同期比0.5ポイントの上昇)と、昭和63年以降最高水準となりました。アフターコロナによる経済活動の回復と、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題が迫る人手不足を背景に、求人数は約46万5千人(同9.4%の増加)と増加しました。一方で、求職者数は約12万3千人(同4.8%の減少)と、進学率の上昇と生徒数の減少の影響が出ており、高卒採用の競争はますます激化しています。(※1)
本調査では、高校生の新卒が「金の卵」と注目される2024年卒の高卒採用活動から、「今」どのような活動が必要か考察するため、企業の新卒採用担当者に対して24卒採用活動の振り返りと活動内容に関するアンケートを行いました。
■調査概要
【調査期間】 1.2023年11月8日~11月18日 2.2023年11月13日~11月14日
【調査方法】 1.メールによるアンケート回収 2.インターネット調査法
【調査対象】 企業の新卒採用ご担当者
【有効回答】 N=647人(うち高卒採用実施は346人)
<Topic!>
<全アンケート結果>
■採用計画について
1.24卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数の増減はありますか? (n=346)
2024年卒の高校生の新卒採用を実施したと回答した人に募集人数の増減について聞いたところ、「増やした」「今年から始めた」「数年ぶりに再開した」合わせて32.9%と、3分の1弱が求人数を増やしたと回答がありました。2023年卒の同アンケート(2022年12月)でも3割程度が増やしており、2年連続で求人数を増やす企業が増加傾向です。(※2)
2,24卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数を増やした理由を教えてください。※複数回答可(n=285)
24卒の高卒求人の募集人数を増やした理由について聞いたところ、68.1%が「若手人材の採用に力を入れるため」と回答しました。次に「社内の高齢化」が上げられていることや「23卒で充足しなかったこと」が背景にあり、より深刻に若い人材が求められていると推察できます。
■充足率について
3.2024年卒の高校新卒採用の採用人数について計画通り充足しましたか。 (n=346)
高校新卒採用の募集を行ったと回答した方に計画通り充足したか質問したところ、「充足した」が28.9%、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」が15.9%と、11月時点で採用を終えたのは44.8%でした。また1名以上に内定を出したと回答したのは74.3%で、1名にも内定が出せていないと回答したのは20%でした。求人倍率が3倍を超え売り手市場が続く中、企業が採用目標を増やしたために積極的に採用活動を継続していることが分かります。
4.応募に繋がった理由を教えてください。※複数回答可(n=156)
問3で「充足した」「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した方に、応募に繋がった理由について質問したところ、半数の方が「先生との関係構築」(50.6%)、「給与や福利厚生(条件面)」(50%)と回答しました。次いで、「教育・キャリアアップ制度」39.1%、「アットホームな雰囲気」34%、「ネームバリュー」31.4%でした。
4.応募に繋がった理由を教えてください。※複数回答可(n=156)
問3で「充足した」「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した方に、応募に繋がった理由について質問したところ、半数の方が「先生との関係構築」(50.6%)、「給与や福利厚生(条件面)」(50%)と回答しました。次いで、「教育・キャリアアップ制度」39.1%、「アットホームな雰囲気」34%、「ネームバリュー」31.4%でした。
5.充足しなかった理由を教えてください。※複数回答可(n=171)
問3で「1名以上内定を出したが充足しておらず採用活動を続けている」「応募は来たが1名も内定を出していない」「1名も応募が来ていない」と回答した方に充足しなかった理由を質問したところ、「高校生が減っていると感じる」が46.8%で最も多く、次いで「他社の求人募集人数が増えたため」が35.7%でした。求人倍率の高まりを採用活動の中でも実感したと言えそうです。また次いで「他社と比較して自社の魅力が伝えきれなかった」(35.7%)、「高校への求人紹介が上手くいかなかった」(26.3%)という回答では、競争が激化する中で、企業の魅力訴求力が採用活動の肝になると言えそうです。
6.今回採用に至った生徒はどんなきっかけで応募につながりましたか?※複数回答可(n=276)
問3で「1名以上応募があった」と回答した企業に、採用した生徒が応募に至ったきっかけについて質問したところ、「学校に届いた求人票」(60.1%)でした。次いで、「自社HP」「企業パンフレット」「求人サイト」と続いたことから、生徒は求人票の文字情報に加えて、Webサイト、パンフレット、就活イベントや動画など、求人票だけではなく「職場の雰囲気」や「働いている人」を見て応募をしていることから、高校生の就活の仕方にも変化がうかがえます。
■採用活動について
7.高校生に興味を持ってもらうために特に苦戦したと感じたことは何ですか? ※複数回答可(n=346)
高校生に興味を持ってもらうために特に苦戦したことについて質問したところ、「先生との関係構築」(38.7%)が最も多い結果となりました。問4の「応募に繋がった理由」でも同回答が最も多かったことから、高卒採用において先生はキーマンと言えます。次に、「高校生との直接接点」(38.2%)と少子化による生徒の不足や18歳成人を背景に、高校生に直接PRを行い、選んでもらう重要度が増していることが分かります。続いて、「高校訪問」(34.7%)と、「職場見学」(31.8%)でした。
8.求人情報を伝える上で注力した活動は何ですか?※複数回答可(n=346)
求人情報を伝える上で注力した活動について質問したところ、6割以上の方が「近隣の学校への訪問」と回答しました。また、約3割の方が「県外の学校への訪問」と回答しました。問4の設問で、「先生との関係構築」が上手くいっていたことで採用に成功している企業が多かったことからも、高卒採用を行う上で、先生に自社を知ってもらい良い関係を気付くことが重要であることが分かります。
9.2024年度の採用活動で、求人票で変更した事項はありますか?※複数回答可(n=346)
2024年卒の高卒採用活動において、求人票で変更した事項があるか質問したところ、約65%の企業が何かしらの変更を行ったと回答しました。中でも、「給与・賞与」(47.4%)と変更項目では1番多くの回答を集めました。1社あたりの平均の変更数が、「1.75」と、複数の変更を行っています。
世の中の賃上げニーズだけでなく、企業の魅力を向上させ、訴求するために複数の項目を改訂した企業が多かったと推察できます。「募集職種」(19.4%)では、「実際に入社したらしてもらう業務を詳細に分かりやすく変更した」という声が多く見られました。他にも、「入社後のキャリアについて具体的に記載した」、「研修制度や資格支援制度を詳細に記載することで、未経験でも安心して働けることをPRした」という回答も多く見られました。
10.2024年卒の高卒採用活動では、求人票以外でどのような採用ツールを使用しましたか?※複数回答可(n=346)
2024年卒の高卒採用活動において、求人票以外で使用したツールについて質問したところ、最も多い回答が「採用パンフレット」(59%)でした。次いで、「自社HP」(55.8%)や「求人サイト」(35.5%)などのWebサイト、「ハローワークの合同企業説明会」(33.8%)、「民間企業の合同企業説明会」(27.2%)などのイベントの活用でした。「採用動画」や「SNSアカウント」も17~19%程度の回答があり、高卒採用においても訴求ルートを多数活用する動きが見られます。
※1 厚生労働省『令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和5年9月末現在)』
※2 ジンジブ『高校新卒採用についての企業動向調査23年(12月)』
<採用活動の工夫をしている企業の取り組み>
採用競争が激化する中でも、採用活動を工夫している企業は「今」どんな活動をしているのか深堀します。アンケート結果から企業規模、採用活動量や充足度を見て、問4で「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した方を「積極的な採用活動を行うロールモデル」と仮定して注目いたします。
※「充足した」と回答した層は従業員規模が多い企業に所属する割合が高く知名度が比較的高いと想定し、この度の注目は上記といたしました。
2023年卒の高卒採用の充足状況別に訴求ルートを見てみると、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した方の採用ツールの使用平均は「3.22」種類と、全体の「2.55」と比較して多様なツールを使用していました。
また、「求人サイト」の回答が全体平均を10.2%上回る数値となりました。さらに、「採用動画」(33.3%)、「採用向けのSNSアカウント」(35.2%)など、より高校生が個人で見ることができる魅力が伝わりやすいデジタルツールを使用していることが分かります。
2023年卒の高卒採用の充足状況別で、求人情報を伝える上で注力した活動を比較すると、活動の平均値が「2.53」に対し「4.36」と大きく差が開き注力した活動が多いことが分かります。中でも最も差が開いたのが、「県外の学校への訪問」(47.3%)でした。一方で、「求人票の発送」の回答割合にはほとんど差が見られず、多くの企業が行っていました。「求人票の発送時期」、「高校訪問の時期」の質問でも差はあまり見られない結果となりました。
2023年卒の高卒採用の充足状況別で、「求人票の項目で変更した事項」について比較したところ、変更数の平均が「1.75」項目に対し、「2.64」とこちらも変更数が多いことが分かります。変更内容としては、「キャリアアップ制度」「休日日数」「募集職種」「資格支援制度」など「給与・賞与」以外の項目の変更も多くされていました。特に、「募集職種」と回答した方は「実際に入社してから行う業務内容を、高校生でもわかりやすい言葉に変更した」、「未経験でも安心して働けることを記載した」など、高校生が求人票を見たときに入社後をイメージできるように変更する企業が多いことが分かりました。
<アンケート結果からわかること>
●24年卒の高卒採用意欲について
本アンケート調査によると、2024卒の高卒採用求人では募集人数を「増やした」「変動なし」「新たに始めた・再開した」と回答した企業が90.7%でした。昨年同アンケートでも3割程度が増やしたと回答しており、2年連続で増加傾向となりました。 高卒採用を行う理由としては、「若手人材の採用に力を入れるため」が68.1%でした。背景には「社内の高齢化」や「退職者の増加」があり、企業の若手人材不足の深刻さが見て取れます。また、「業績向上における事業拡大のため」という回答も上位にあり、コロナ禍脱却による経済回復で、採用を強化する企業も増えていると推測できます。
●24年卒の高卒採用の充足率について
2023年11月時点の高校新卒採用における充足率は、「充足した」が28.9%、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」が15.9%と採用を終えた企業が44.8%でした。
一方で、「充足しなかった」と回答した企業の理由としては、「高校生が減っている」の次に「他社の求人募集人数が増えたため」「他社と比較して自社の魅力を伝えきれなかった」の回答が多いことから、文字情報のみの求人票では、他社との採用競争で自社の魅力を伝えることが難しくなっており、採用活動を行う上で他社企業との差別化が重要と言えます。
●これからの採用成功の「カギ」について
採用活動に関する質問のアンケート結果から、採用成功の「カギ」には、「先生との関係構築」の他に「高校生への直接の魅力発信」の重要度が増してきていることが考察できます。
応募につながった理由の1位が「先生との関係構築」であったことや、最も注力した活動で6割が「近隣の学校への訪問」と回答したことから、就活の窓口でもある先生は高卒採用の「キーマン」であり、先生に会社の魅力を知ってもらい、良い関係を築くことが重要で大学生の新卒採用との違いの1つです。24卒の活動では「1名以上内定し採用活動を終えた」層を参考にすると、「県外の学校訪問」にも注力していることがわかります。
また企業の魅力をアピールするため、求人票を見直し、より魅力が伝わるようにしています。求人票の変更事項の質問では、「給与・賞与」(47.4%)とおよそ半数の企業が賃金に関する改訂を行っていました。その他に、「休日日数」(24%)、「募集職種」(19.4%)など、3分の2の企業が何かしらの変更を行ったと回答しました。
一方で、企業が苦戦を感じたことに「高校生との直接接点」(38.2%)が1位の「先生との関係構築」(38.7%)と僅差で2位になっていること、応募のきっかけではHPや求人サイトが上位回答でした。また「1名以上内定し採用活動を終えた」層を参考にすると、採用ツールでは、求人サイトや採用動画、SNSなど、全体と比較して多様かつ生徒が直接目にするような訴求ルートを取り入れていました。これらからは、先生を介して伝えることに追加して、デジタルの活用や直接会うことで、高校生に直接働きかけ訴求する動きが採用成功の新たなカギになってきていることが見えてきます。
以上のことから、就職希望の生徒の減少だけではなく、18歳成人を背景に主体的に将来を選択できるように育成するキャリア教育への重要性の高まりも手伝って、高校生が自身の意思で就職先を選ぶ動きも進んでいくのではないかと考えられます。
2024年卒の高卒採用活動における、採用成功の2つの「カギ」は、さらに高校生の新卒人材への採用意欲が加速する25年卒の採用活動でも極めて重要になってくると推測できます。
<回答者属性>
■ 株式会社ジンジブについて
ジンジブは「高卒」の若者のための社会課題解決企業です。
同じく「高卒社長」である佐々木が、「夢は、18才から始まる。」をスローガンに掲げて事業をはじめました。高校生のキャリア教育や、就活の情報提供、就職後の定着やスキルアップやキャリア形成、転職時の情報提供やサポートを行います。
初めて社会に出る高校生は、将来に対する漠然とした不安をいだきながら、社会に出ることを決意しています。ジンジブでは、かかわる若者や会社に対して、不安な時には真剣に向き合い、自己理解・社会理解・マインド・スキルなど社会で生き抜くための力を高めるサポートを行い、自分の意思で未来を選択できる機会をつくります。
たとえ失敗してもすぐに手を差し伸べ、その人生にずっと寄り添い、これからの生きる人の夢を増やしてまいります。
● 高卒就活採用支援サービス 「ジョブドラフト」
高卒新卒で就職する高校生は、限られた情報や期間の中で、社会経験や自己理解の機会や、やりたいことや向いていることを考える期間が少ない中、就職先を選んでおり、将来に対して漠然とした不安を抱えています。
情報不足、理解不足などで納得できる企業選択ができず就職し、入社後にギャップを感じてしまうことが、入社1年目の「超早期離職」の要因の一つといえます。
そこで「ジョブドラフト」では、進路決定前から将来について考えるきっかけを与えるキャリア教育支援「ジョブドラフトCareer」や、これまでは文字情報のみの求人票でしか収集できなかった求人情報を、高校生に向けた発信をする就職情報アプリ「ジョブドラフトNavi」や、1日で多くの企業に直接話を聞ける高校生のための合同企業説明会「ジョブドラフトFes」を運営し高校生が未来を自分の意思で形作るためのサービスを展開しております。
また、卒業後の生徒には、高卒第二新卒や既卒者へのリスキリングと就職・転職を支援する「ジョブドラフトSchool」「ジョブドラフトNext」を運営し、社会に出た後にも寄り添ってまいります。
●人財育成サービス
社会人として必要となる基礎スキルやマインド、DXを始めとしたこれからの社会で必要になるスキルの学びの講座を開発し、高校生や高卒社会人が人生100年時代の中、キャリアアップを実現するためのサポートを運営しております。
Z世代の採用育成を行う企業向けには、入社後の定着のための研修「ROOKIE’S CLUB(ルーキーズクラブ)」では社外の同期もつくります。デジタルマーケティング講座「DMU」などのスキルアップ講座も提供し、企業発展を促す若手人財の育成を支援してまいります。
<会社概要>
◆株式会社ジンジブ (https://jinjib.co.jp/ )
本社所在地:大阪府大阪市中央区南本町2-6-12 サンマリオンタワー14階
代表取締役:佐々木 満秀
設立:2015年3月23日(グループ創業1998年9月1日)
資本金:9,800万円
2023年3月「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」認証。
2023年「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(経済産業省)に採択。
2023年12月「第13回キャリア教育アワード」(主催:経済産業省主催)にて「優秀賞」を受賞。