高還元SESはやめとけと言われる理由と真実について現役エンジニアが解説
2025.02.01 エンジニア転職PR
高還元SESという言葉を聞いたことがあるでしょうか?SES企業の中でも、エンジニアに対する還元率が80%以上と高く設定されている企業を指します。
一見、魅力的に思えるこの高還元SESですが、実際の収入や契約内容には落とし穴が隠されていることも少なくありません。
本記事では高還元SESの仕組みや、特徴・メリット、さらに注意すべきポイントを詳しく解説します。転職を考えているエンジニアの方や、SES業界について深く知りたい方に向けた必読の内容です。
高還元SES企業を選ぶ際のリスク回避方法や、より良いキャリアを築くためのアドバイスも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
また、高還元SESと似たようなサービスでレバテックフリーランスがあります。レバテックフリーランスはエンジニアの案件を紹介するエージェントが在籍しており、副業やフリーランスとして独立する際にも利用することができます。
手数料率は公開されていませんが、案件を見る限りかなり高還元だと感じます。
高還元SESとは?その仕組みと特徴を解説
高還元SESの定義と一般的な還元率
高還元SESとはSES(システムエンジニアリングサービス)企業の中でも、エンジニアに対する報酬割合が高い企業を指します。
一般的にSES企業の還元率は50%〜70%程度が標準とされていますが、高還元SESでは還元率が80%以上となることが多く、場合によっては90%を超えることもあります。
そもそも還元率とはクライアントから受け取った売上額に対して、エンジニアへ還元する給与の割合を示すものであり、この数値が高いほどエンジニアにとっては有利な条件となります。
高還元を実現するためのビジネスモデル
高還元SESが高い還元率を実現できる理由は、従来のSES企業とは異なるビジネスモデルにあります。
一般的なSES企業では営業担当者や人事担当者など、多くのバックオフィス業務が存在し、それがコストとなり還元率が低下します。一方高還元SES企業は、以下のような戦略でコストを削減し還元率を引き上げています。
これにより、企業の運営コストが削減され、エンジニアへの報酬が高くなる仕組みとなっています。
高還元SES企業の主な特徴とメリット
高還元SES企業には、いくつかの共通する特徴とエンジニアにとってのメリットがあります。これらを理解することで、自身のキャリア選択における判断材料とすることができます。
一方で、これらの企業はあまりサポート体制が充実していないことも多く、自己管理能力や営業スキルが求められる点には注意が必要です。
高還元SESに潜むリスク 高還元SESの裏側:知っておきたいリアルな実態
還元率の計算方法における不透明性
既述の通り、高還元SES企業の一番の特徴は還元率の高さですが、還元率が本当にエンジニアにとって有利かどうかは計算方法の透明性に大きく依存します。表面上の還元率が高く見える企業でも、実際には計算基準が曖昧な場合があります。
たとえば、還元率の計算に含まれる経費や手数料の詳細が明確でないケースが多く、エンジニアは「80%還元」と謳われても、その内訳が不明確であることが少なくありません。
さらに一部の企業では、プロジェクトの売上全体を基準に計算せず、エンジニアの作業時間に対する割合だけを基にすることもあります。
結果として、クライアントからの支払い額とエンジニアの手取りが大きく異なることがあり、不満やトラブルの原因となります。このような状況を避けるためにも、企業が提示する還元率の内訳や計算方法を事前に確認することが重要です。
待機期間中の給与支給に関する実態
高還元SES企業のもう一つのリスクは、待機期間中の給与支給に関する問題です。
SESエンジニアは、プロジェクトが終了した後、新たな案件が決まるまでの待機期間が発生することがあります。この期間の給与支給は企業によって異なりますが、高還元SES企業では待機中の給与支給が保証されていない場合も多いです。
一部の企業では「待機期間は無給」とする契約形態を採用していることがあり、エンジニアにとっては安定した収入が得られないリスクが伴います。また、待機中に次の案件が決まらない場合、エンジニアが自ら営業活動を行わなければならないケースもあり、収入面での不安が増すことがあります。
待機期間中の給与支給に関する契約内容をしっかり確認し、不安要素がないか事前にチェックすることが必要です。
偽装請負のリスクと法的問題
高還元SES企業では、偽装請負のリスクも無視できません。偽装請負とは実際には業務委託契約の形式を取っているものの、実態としては指示命令系統がクライアント側にあり、まるで従業員として扱われるケースを指します。
このような状況は法律違反に該当するだけでなく、エンジニアにとっても様々なリスクが伴います。例えば、偽装請負の状態ではクライアント側からの過剰な指示や、業務範囲を超えたタスクを求められることがあり、労働環境が悪化する恐れがあります。
また偽装請負が発覚した場合、契約が無効となり、給与の未払いなどのトラブルに発展する可能性もあります。これを避けるためには契約形態や業務指示の範囲が明確に定められているかどうか、事前に十分に確認することが求められます。
福利厚生やサポート体制の現状
高還元SES企業では、エンジニアへの報酬を優先するあまり、福利厚生やサポート体制が不十分であるケースが多々見られます。
具体的には、社会保険や年金、健康診断などの福利厚生が最低限の範囲にとどまることがあり、従来のSES企業と比較して手薄な傾向にあります。特に、福利厚生の一環として提供される研修や資格取得支援などが省かれることが多く、エンジニア自身が自己投資を行わなければならない場面が増えることがあります。
また、プロジェクトのサポート体制にも課題があります。
従来のSES企業では、営業担当者がエンジニアとクライアントの間に立って調整を行うため、問題が発生した際にはすぐに対応できる体制が整っています。しかし、高還元SES企業では、コスト削減の一環として営業サポートを最小限にしていることが多く、エンジニアが直接クライアントと交渉しなければならない状況が発生しやすくなります。
これにより、エンジニアが自分の業務に集中できず、ストレスや負担が増大する可能性があります。
退職時のトラブル事例とその対処法
高還元SES企業で働くエンジニアが退職を考える際、さまざまなトラブルが発生することがあります。特に、退職時の清算に関する問題がよく見られます。
たとえば、退職直前のプロジェクトでの売上が確定する前に退職する場合に、その報酬が適切に支払われないことがあります。企業側が「売上が確定していない」として、最終月の給与の一部を保留するケースもあり、エンジニアはこれに対して不満を感じることが多いです。
また、退職時に発生する違約金や契約違反に関するトラブルも報告されています。高還元SES企業では、エンジニアと企業の関係を業務委託契約にしていることが多いため、契約期間中の退職にはペナルティが設定されていることがあります。
このようなペナルティ条項は契約時には見落とされがちですが、退職を決めた際に思わぬ問題として浮上します。事前に契約内容をよく確認し、退職時の条件や手続きについて明確にしておくことが重要です。
さらに、退職後にクライアントとの直接契約を禁じる「競業避止義務」に関する問題もあります。これに違反すると、法的措置が取られるリスクがあるため、退職後の転職先選びにも慎重さが求められます。
高還元SES企業を見極めるためのチェックポイント
還元率の内訳と計算方法の確認
高還元SES企業を選ぶ際には提示された還元率の数字に惑わされず、その内訳と計算方法を細かく確認することが重要です。
多くの高還元SES企業では還元率が80%以上と示されることが多いですが、実際にはその計算に含まれる要素が曖昧な場合があります。たとえば還元率の算出において、エンジニアがプロジェクトで実際に稼働した時間を基準とするのか、プロジェクト全体の売上を基にするのかで大きく異なります。
また、営業手数料や保険料、プラットフォーム利用料などが差し引かれた後の金額が還元率の計算対象となることもあり、エンジニアが期待するほどの手取りが得られないケースも少なくありません。
さらに、月々の稼働時間が一定の基準に達しないと高い還元率が適用されない場合もあり、この点は契約前にしっかり確認するべきポイントです。たとえば、月160時間以上の稼働で80%以上の還元が適用されるといった条件があることが多く、稼働時間が少ない場合には還元率が大幅に低くなることもあります。エンジニアにとっては契約内容に書かれた細かな条件や、還元率の計算基準を事前に理解しておくことが、トラブルを避けるために必要不可欠です。
契約形態と業務指示の明確化
高還元SES企業で働く場合、契約形態が曖昧であれば様々な問題が発生するリスクが高まります。
特に業務委託契約としてエンジニアが雇用される場合には、業務の指示命令系統や、業務範囲が明確に定められているかを確認することが重要です。業務委託契約では、エンジニアはクライアントからの直接指示を受けることは法律上許されていないため、この点が曖昧だと「偽装請負」として法的トラブルに巻き込まれる可能性があります。
さらに業務範囲が不明確な場合、プロジェクト中に想定外のタスクを要求されることがあり、結果としてエンジニアの負担が増大することもあります。企業がどのような業務形態を採用しているのか、指示命令の範囲が明確に定められているか、契約書に記載された内容をしっかりと確認することでトラブルを未然に防ぐことができます。また、契約更新時やプロジェクト変更時にも、業務範囲が再確認されることが推奨されます。
待機時の給与支給条件とその取り扱い
高還元SES企業では、プロジェクトの終了後や新たな案件が決まるまでの待機期間中の給与支給についても注意が必要です。
待機期間中の給与支給が保証されていない場合、エンジニアは無収入の状態に陥るリスクがあります。特に高還元SES企業はコスト削減を重視する傾向があり、待機期間は無給となるケースが多いため、事前に給与支給条件を明確に確認することが大切です。
待機期間中に次の案件が決まらない場合、エンジニア自身が営業活動を行わなければならない場合もあり、これは予想外の負担となることがあります。企業によっては待機期間中の給与を一部支給する保証給与制度を導入している場合もありますが、その適用条件や金額にはばらつきがあるため、詳細な確認が必要です。
待機中の給与支給がどのように取り扱われるのか、具体的な支給条件や保証内容をしっかりと確認し、万が一のリスクに備えることが求められます。
高還元SESへの転職を成功させるためのアドバイス
企業選びで重視すべきポイント
高還元SES企業への転職を検討する際には、魅力的な還元率にだけ目を奪われず、企業の実態をしっかりと見極めることが重要です。
まず、企業の信頼性を確認するために、公式ウェブサイトや第三者の口コミサイトをチェックしましょう。
高還元率を謳う企業でも、口コミで給与支払いの遅延や、不透明な還元率といった不満が多く報告されている場合には注意が必要です。
特に設立から日が浅い企業や、急成長を遂げている企業は一見魅力的に映るものの、内部体制が整っていないことも多いです。そのため企業の財務状況や業績推移を調べ、安定した運営が行われているか確認することが推奨されます。
また、提供される案件の質と多様性も重要な要素です。案件の種類が限られている場合、エンジニアとしてのスキルアップやキャリアの幅が狭まる可能性があります。
特に高還元SES企業ではエンジニア自身が案件を選ぶ自由度が高い分、専門分野や得意なスキルに合った案件が豊富に揃っているかどうかを確認しましょう。
また案件の選定においては、長期案件か短期案件かの比率も重要です。短期案件ばかりの場合頻繁にプロジェクトの切り替えが必要となり、そのたびに待機期間が発生するリスクも考慮するべきです。
面接時に確認すべき重要事項
高還元SES企業への転職を決める前に、面接時に必ず確認すべきポイントがあります。
まず、還元率の具体的な計算方法について質問することが不可欠です。企業によっては「80%以上」と謳っていても、実際には経費や手数料が差し引かれた後の額が提示される場合があります。そのため還元率の算出に含まれる経費項目や、還元率が適用される条件について詳しく尋ねることで、実際の手取りがどれくらいになるのかを把握できます。
さらに、待機期間中の給与支給についても確認しましょう。特に高還元SES企業では待機中の給与が無給となるケースが多く、これが収入の安定性に大きく影響します。待機期間中の支援やサポート体制はどうなっているか、次の案件が決まるまでの平均待機期間はどの程度かなどの質問を通じて、待機期間中のリスクを把握することが大切です。
契約形態と業務範囲に関する確認も欠かせません。業務委託契約が主流となっている高還元SES企業では指示命令系統や業務の範囲が明確でないと、偽装請負に該当するリスクがあります。そのため、業務範囲は契約書に明記されているか、クライアントからの直接指示は受けない形となっているかなどの質問をして、法的なリスクを回避しましょう。
転職エージェントの活用方法と注意点
高還元SES企業への転職をスムーズに進めるためには、転職エージェントの活用も効果的です。特にSESやIT業界に精通したエージェントは、企業の内部事情や実際の評判など公開されていない情報を提供してくれることが多く、企業選びの際の強力な味方となります。エージェントを通じて応募することで企業側との交渉がスムーズに進むだけでなく、条件面でも有利に進められる場合があります。
また、複数のエージェントを利用することで幅広い案件情報を得られるだけでなく、異なるエージェントからの意見を比較できるメリットもあります。特に高還元SES企業は案件の選択肢が多く、それぞれの案件に特徴があるため複数のエージェントから情報を収集し、自分に最も合った案件を選ぶことが推奨されます。
まとめ
高還元SES企業は高収入や自由度の高い案件選択など、魅力的なポイントが多い一方でリスクも存在します。
還元率の内訳が不明確であったり、待機期間中の給与支給が保証されていないケースも多く、エンジニアにとっては安定した収入を確保することが難しい場合もあります。
また、偽装請負や退職時のトラブルなど、法的なリスクも見逃せません。この記事を参考にリスクをしっかり理解した上で、高還元SES企業への転職を成功させるための準備を進めましょう。
皆さんがエンジニアとして思い通りのキャリアを歩めることを願っています。