【高校新卒採用についての動向調査21年(6月)】を公開しました。

2021.07.06 ニュースリリース

22卒「増やす」「昨年同様」が3分の2と採用意欲高まる。
21年入社「3カ月未満で離職」が約4割。

 

高校生の就職を支援するジョブドラフトの運営と企業の高校新卒採用支援を行う株式会社ジンジブ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:佐々木 満秀)は、新卒採用担当者向けに2022年卒の採用計画や採用活動、就職活動のあり方に関する調査を実施いたしました。(調査期間:2021年6月14日~2021年6月16日、有効回答数:496人、うち高卒採用実施は227人)

 


調査結果サマリー

  • 高卒22卒採用計画「増やす」「昨年同様」「新たにはじめる」が70%と採用意欲高まる。理由の1位は「人材不足」。
  • 高卒採用の過程でのオンライン導入予定は56%。「会社説明会」「面接」に活用予定。
  • 高卒採用に欲しい機会1位は「高校の先生との意見交換の場」、2位は「高校生と直接接点が取れる就活イベント」
  • 21入社の高卒社員にすでに離職をした人がいると答えた割合は37%。

 

調査背景

高校生の就職活動は一人一社ずつの応募や短期間での応募先確定など学校を介して行われる「学校斡旋」が一般的です。高い内定率を誇る一方、リクルートワークス研究所の調査によると高校生は「1社だけを調べ見て、1社だけを受けて、1社に内定した人」が55.4%と、半数以上が1社だけを見て就職活動をする状況があり(※1)、採用時のミスマッチや、入社後の早期離職が課題視されています。

2021年3月卒では、求人数が約38万6千人(昨年同期比20.2%減少)、求人倍率2.64倍(同0.25ポイントの減少)、求職者は約14万6千人(同12.7%)と求人数求職者共に減少する結果となりました。(※2)内定率は例年並みと高い水準でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、休校による進路指導の遅れや内定を得るまでの時間の長期化、希望の業種・職種・エリアの変更、職場見学をせずに就職先を決めるなど、更に就活時のミスマッチが増えたのではと懸念しています。

本調査では、新卒採用担当者に対して、コロナ禍2年目である22年3月卒の高校新卒採用の採用計画や採用活動、従来の高卒採用の在り方についてのアンケートを行い、22卒の動向と就職活動時のミスマッチの軽減について考察いたします。

 

注釈参照データ:
※1 「高校卒就職当事者に関する定量調査」リクルートワークス研究所
※2 令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」 厚生労働省

 

調査概要

【調査期間】  2021年6月14日~6月16日
【調査方法】  インターネット調査法
【調査対象】  新卒採用ご担当者
【有効回答】  N=496人(うち高卒採用実施者は227人)

 

<主な調査結果>

■22年卒の高卒採用活動について
1. 22卒の大卒・短大・専門卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数の増減はありますか。(n=436)


2022年卒の大学・大学院・短大・専門卒採用の募集人数の増減について質問したところ、「増やす」が23.6%、「変わらない」が49.3%、「減らす」が17.9%、「新たに始める」が1.8%、「採用を辞める」が0.9%、「未定・分からない」が6.4%でした。2021年3月末に行った同調査と比較し、「増やす」の回答が4.6ポイント上昇しています。

 

2.22卒の高卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数の増減はありますか。(n=227)

2022年度の高卒採用の募集人数の増減について質問したところ、「増やす」が25.6%、「変わらない」が42.7%、「減らす」が18.9%、「新たに始める」が1.8%、「採用を辞める」が1.3%、「未定・分からない」が9.7%でした。「増やす」の回答が前回調査(2021年3月末)と比較し8.6ポイント上昇、また「増やす」「変わらない」「新たにはじめる」を合わせて70.1%と高卒採用意欲が上昇していることが分かります。

 

2-2.22卒の高卒の採用計【高卒採用1年目、2年目、3年目と回答した方のみ】(n=58)

高卒採用経験が1~3年目の企業の回答を見てみると「増やす」が46.6%と、全体の数値と比較して21ポイント高い結果となっており、近年で採用活動を始めた企業は更に高卒採用に意欲的であることが分かります。

 

3.22卒の高卒の求人募集人数を「増やす・変わらない・新たに始める」理由を教えてください。【複数回答可】(n=159)

2022年度の高卒採用の募集人数を「増やす・変わらない・新たに始める」理由について質問したところ、「人材不足のため」が64.8%、「コロナ禍が収束すると見通すため」が32.1%、「昨年採用に成功した・いい人材が採用できたため」が18.2%、「高卒人材への需要が高まったため」17.0%、「去年より経営状況が好転したため」が16.4%でした。

 

4.22卒の高卒の求人募集人数を「減らす・採用を止める」理由を教えてください。【複数回答可】(n=46)

2022年度の高卒採用の募集人数を「減らす・採用を止める」理由について質問したところ、「コロナ禍の収束の見通しが立たないため」が67.4%、「コロナ禍により経営状況が悪化したため」が43.5%、「高卒人材への需要が減ったため」が13.0%、「昨年良い人材が採用できなかったため」が8.7%、「昨年採用で充足したため」が6.5%でした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている企業が多いことが分かります。

 

5.高卒採用を始めて1年目、2年目の方に聞きます。高卒採用を始めた理由を教えてください。【複数回答可】(n=26)

高卒採用を始めた理由について高卒採用を始めて1~2年目の方に質問したところ、「若手人材の採用」が57.7%、「コロナ禍が採用のチャンスだと感じたため」が23.1%、「業績が向上し人員拡大が必要なため」が15.4%、「採用費が抑えられるため」が11.5%でした。

 

6.コロナ禍2年目の高卒の採用活動で、去年と違う不安はありますか。【複数回答可】(n=218)

コロナ禍2年目の高卒採用活動において、昨年と違う不安について質問したところ、「高校訪問ができる数が少なくなるのではないか」が32.6%、「職場見学の数が減るのではないか」が32.1%、「業績予測が見通せず採用計画が立てられない」が31.2%、「高校生に情報が届かないのではないか」が28.4%、「応募の数が減るのではないか」が28.0%、「オンライン職場見学・面接の対応」が23.9%でした。

 

7.22卒では職場見学の受入は実施しますか。(n=221)

2022年度の高卒採用の職場見学の受入について質問したところ、「リアルで実施する」が34.4%、「オンラインで実施する」が16.3%、「リアル・オンラインどちらも実施する」が31.7%、「実施しない」が11.3%、「分からない」が6.3%でした。

 

8.高卒採用の過程にオンラインの導入は検討されていますか。(n=227)

2022年度の高卒採用でのオンラインの導入について質問したところ、「昨年より前から導入している」が10.1%、「昨年から導入した」が35.2%、「今年から導入予定」が10.6%、「導入を検討している」が15%、「導入はしない」が22%、「分からない」が7%でした。

 

9.高卒採用でのオンラインの導入はどのような予定をされていますか。【複数回答可】(n=127)

2022年度の高卒採用でのオンラインの導入予定について質問したところ、1位が「会社説明会」、2位が「面接」、3位が「高校の進路指導教員との打合せ」、4位が「職場見学」、5位が「内定者懇親会」でした。

 

■採用活動・入社後について

10.高卒人材の採用成功のために、どのような機会があれば効果的だと思いますか。【複数回答可】(n=227)

高卒人材の採用成功のために効果的な機会について質問したところ、1位「高校の担当教諭との意見交換の場」の52.9%、2位「高校生と直接接点が取れる就活イベントの活用」の50.2%、3位「ハローワークによる求人求職情報の充実」の36.6%、続いて「民間の支援会社による求人情報の充実」、「学校斡旋による就職の仕組みの緩和・改訂」、「民間の支援会社によるマッチング」、「高校生の自由就活(自己開拓による就活)の活性化」でした。

 

11.学校斡旋による就職の仕組みの緩和・改善した方が良いと思う点はありますか。(n=227)

学校斡旋による就職の仕組みの緩和・改善した方が良いと思う点について質問したところ、1位が「生徒へのPR」、2位が「求人情報の公開時期」、3位が「一人一社制」、4位が「求人票」、5位が「応募開始時期」、6位が「内定時期の研修実施」でした。

 

12.11の回答で改善した方が良い理由をお聞かせください。(n=143)

<回答より一部抜粋>

  • 高校生に直接ピーアールできる機会が少ない。情報が伝えきれない。知ってもらえない。
  • 採用候補者とのコンタクトの機会を増やしたい。
  • より簡単にコミュニケーションがとれるようにできるとよい。
  • 求人票は学校からしか確認できないことが多く、生徒は膨大な求人票の中から自分の就職先を探さないといけない。
  • 書きたい内容が書けない。
  • 生徒が興味を持つような内容にしたい。
  • 紙での検索だけではなく、学校に集まった求人票をデータ検索できれば、偏った探し方も多少緩和されないか。
  • 求人公開が遅すぎて、生徒に情報が行き渡らない。
  • 求人票の提出時期が遅く、学生が企業研究する時間がない。
  • 人材確保のため解禁時期を早めてほしい。
  • 学生の選択肢が狭まり、人気企業に集中するため。
  • 高校生本人の職業選択の自由を確保。
  • ミスマッチはお互いにとってデメリットなので。
  • 早い段階で、いい人材とより深く接点を持ちたいから。
  • せっかく入社してもすぐに辞めてしまう方がいるので早い段階でインターンのように実務に取り組むと良いかと思います。
  • 卒業後、社会人となりメンタル的に参る方が多いように感じる。それを踏まえ、研修などもっと充実させたい
  • コロナが収束しないと前に進めない。
  • デジタル化の対応


13.21年入社の高卒人材の中で、すでに離職した人はいますか。(n=190)

2021年卒で入社した高卒人材の中ですでに離職した人がいるか質問したところ、「いる」が36.8%、「いない」が60.6%、「答えられない」が3.2%でした。※就職者全体の離職率ではございません。

 

14.機会があれば卒業後も進路が未決定の高校生や、入社半年以内に離職した高卒人材の採用に興味はありますか。(n=468)

新卒採用の担当者に、機会があれば卒業後も進路が未決定の高校生や、入社半年以内に離職した高卒人材の採用に興味があるかを質問したところ、「ある」が65.6%、「ない」が34.4%と回答しました。

 

15.14にて「興味がある」と回答した理由をお聞かせください。(n=307)

卒業後も進路が未決定の高校生や、入社半年以内に離職した高卒人材の採用に「興味がある」と回答した方に理由を質問したところ、1位が同率で「多様な生徒の採用活動を行いたいため」「将来の成長など可能性を感じるため」、3位が「時期に左右されずに採用を行えるため」、4位が「進路決定の有無にかかわらず高卒人材に興味があるため」、5位が「中途採用に比べ人材育成のしやすさがあるから」でした。

 

16.14にて「興味がない」と回答した理由をお聞かせください。(n=161)

卒業後も進路が未決定の高校生や、入社半年以内に離職した高卒人材の採用に「興味がない」と回答した方に理由を質問したところ、1位が「一括して人材育成を行いたいため」、2位が「コミュニケーションなどで不安があるため」、3位が「卒業直後の生徒を採用したいため」でした。

 

<アンケート調査結果を受けて>

本アンケート調査によると、22卒の高校新卒採用の募集増減は「増やす」が25.6%と「変わらない」が42.7%、「新たにはじめる」が1.8%を合わせて70.1%と採用意欲は高まっていると言えます。同設問で高卒採用を始めて1~3年目の企業の回答を見ると、「増やす」が47%と約半数の企業が採用に意欲を示しています。高卒採用の募集人数を「増やす・変わらない・新たに始める」理由は「人材不足のため」64.8%であり、募集人数を「減らす・採用を止める」と回答した理由では「コロナ禍の収束の見通しが立たないため」が67.4%、「コロナ禍により経営状況が悪化したため」が43.5%とコロナ禍であっても若手人材を求める企業と採用の縮小を行う企業と結果が分かれました。

22卒の採用活動では採用過程のオンライン導入予定は56%と、昨年と比較して高校新卒においてもオンラインの導入を検討する企業が増加している傾向が見られます。活用方法としては、「会社説明会」「面接」「高校の進路指導との打合せ」「職場見学」などが上げられました。企業側のオンライン導入がより一層進む一方でスムーズにオンラインでの採用活動を行うには、高校側の一層のオンライン化が重要となりそうです。

学校斡旋による就職の仕組みの緩和・改善した方が良い点を質問したところ、「生徒へのPR方法」が34.4%と最多で、「高校生に直接アピールできる機会が少なく情報が伝えきれない」と高校生と直接接点を持てる機会を希望する声が多く上がりました。続いて、「求人情報公開時期」が33.9%、「一人一社制」が32.6%と、現行の高校新卒の就職活動の慣習に何らかの見直しを求める企業の声が多く上がりました。

また、21年卒の高卒人材を採用した企業の約4割が入社3か月未満で離職者が出ていることが分かりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で就職活動スケジュールの短縮や志望職種を変更、職場見学に参加できないまま入社するなど、コロナ禍で制限された環境の中での就職活動による、入社後のミスマッチが起きたのではと推測できます。

以上のことを踏まえて、コロナ禍でのミスマッチを軽減するためには、採用活動時にオンラインや民間サービスも上手く活用し高校生と接点を持ち会社の理解を深めてもらうことと共に、入社後の支援や丁寧なメンタルケアを行うことが定着のカギとなると言えます。

 

<回答者属性>

<ジョブドラフトの特徴>

株式会社ジンジブでは、就職する高校生が学歴や「高卒」という偏見に捉われることなく、自己決定の上希望を持って社会に出ること、企業が若手採用を継続すること、これらを実現するために、高卒採用にまつわる社会課題の解決に取り組んでおります。

「ジョブドラフト」は高校生と高校新卒採用をする企業を支援するサービスです。進路が決まっていない高校生に対してはキャリア教育や進路決定のサポートを、就職を決めた高校生に対しては就職情報サイト「ジョブドラフトNavi」や合同企業説明会「ジョブドラフトFes」による情報提供や、就職相談での内定までの就職サポートを行い、主体的に将来を選択できるよう支援します。企業に対しては採用コンサルティングにより高校生に選ばれる会社作りの支援、Naviへの掲載やFesへの出展により高校生へ直接知らせる採用活動の実現、高校との接点支援により先生を通して知らせる採用活動の支援をします。ジョブドラフトが目指すのは未来を担う高校生と成長に向かう企業を輝かせることです。

 

●掲載社数No.1サイト 高校生の就職を支援する「ジョブドラフトNavi」 

URL:https://job-draft.com/

これまで文字情報のみだった企業の「求人票」の情報を、就職情報サイトに掲載しています。高校生目線を重視した会社の雰囲気・先輩インタビューなど写真や動画を用いて紹介することが可能です。高校生は職場見学エントリーや、7月の求人情報解禁後に求人票をダウンロードし、進路指導の先生やジョブドラフトに相談し応募をしていただけます。

 

●高校生と企業が直接交流できる合同企業説明会「ジョブドラフトFes」

 高卒求人予定の企業を集めた国内最大級の就職活動イベントです。高校生は1日で多くの企業と出会えるため、求人票だけでは得ることのできない会社の雰囲気や情報が得られます。2019年は東京・大阪・福岡にて5回開催、2020年は全国13都市で合計17回開催し、累計参加企業966社、のべ参加者数4,320名を動員しました。2021年は全国10都市で開催予定です。

 

●入社後の定着支援 「ルーキーズクラブ」

人事の悩みである高卒人財の入社後の育成・定着をサポートする、1年間を通じた研修とメンテナンスサービスです。2021年はオンラインも活用し東京・大阪・福岡で実施しております。高卒1年未満の早期離職は大卒の11.6%と比較し17.2%(※4)と高く、入社後はよりきめ細やかなフォローが必要です。集合研修、チームごとの研修の中でファシリテーターが付き、メンテナンスのサポートを行います。

 

プレスリリース本文PDFはコチラ「高校新卒採用についての動向調査22年(6月)」

 

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株式会社ジンジブ 広報:佐藤・杉尾 pr@jinjib.co.jp