高校新卒採用についての動向調査21年(3月)を公開しました

2021.05.11 ニュースリリース

21卒は先行きの不透明さに悩むも、オンラインの活用などで高卒採用市場の改善が急激に進む。
22卒は半数以上が採用に意欲。

 

高校生の就職を支援するジョブドラフトの運営と企業の高校新卒採用支援を行う株式会社ジンジブ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:佐々木 満秀)は、新卒採用担当者向けに2021年卒の振り返り、2022年卒の募集人員の増減や採用活動、入社後のフォローに関する調査を実施いたしました。
(調査期間:2021年3月19日~2021年3月25日、有効回答数:519人、うち高卒採用実施は276人)

 


調査結果サマリー

  • 22卒の高校新卒募集人数「前年より増やす」17%、「前年と同じ」41%と半数以上がコロナ禍でも採用に意欲。
  • 21卒採用活動で上手くいったこととして、47%が「職場見学」と回答。その中でも「オンラインでの職場見学や面接が良かった」など、高卒採用活動の変化が見て取れる意見も多数。一方で、上手くいかなかったこととして、「採用戦略」29%「新型コロナでの活動の制限」など、コロナショック下の先行きの不透明さを表す声も多数。
  • 入社後のフォローに4割がメンター制度を導入。定着の取組は研修、コミュニケーション、面談などを実施。
  • 複数社応募については「複数社応募の導入に賛成」が44%、「応募時期は一人一社、複数社応募できる時期を早める」が32%など、見直しを求める意見が75%以上を占める。

 

調査背景

2021年卒の高校生の新卒採用市場は、求人数は約37万人(昨年同期比20.7%減少)、求人倍率は2.43倍(同0.32ポイントの減少)(※1)と、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け求人数が減少しました。一方1月末現在の就職内定率は93.4%(昨年同期比1.4ポイントの増加)(※2)です。休校による進路指導の遅れや、内定を得るまでの時間の長期化、希望の業種・職種を変更や、職場見学をせずに就職先を決めたなどの影響がありました。また高校生の就職活動は一人一社ずつの応募や短期間での応募先確定など学校を介して行われる学校斡旋が一般的で、高い内定率を誇る一方、リクルートワークス研究所の調査によると高校生は「1社だけを調べ見て、1社だけを受けて、1社に内定した人」が55.4%と、半数以上が1社だけを見定めて就職活動をしている状況があります。(※3)

本調査では、新卒採用担当者に向けて21年度の高校新卒採用に関する採用活動の実態や入社後のフォロー、22年度の採用計画についてのアンケートを行い、コロナ禍での新たな高卒採用のあり方を考察します。

 

注釈参照データ:

※1 令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」 厚生労働省
※2 令和3年3月「高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和3年1月末現在)」文部科学省 
※3 「高校卒就職当事者に関する定量調査」リクルートワークス研究所
※4 「平成30年学校基本調査 高等学校卒業後の進路」文部科学省データより算出

 

調査概要

【調査期間】①2021年3月19日~3月21日 ②2021年3月18日~3月25日

【調査方法】①インターネット調査法 ②メールによるアンケート回収

【調査対象】新卒採用ご担当者

【有効回答】N=519人(うち高卒採用実施は276人)

 

<主な調査結果> 

■21年卒の高卒採用活動について

1. 新卒採用全体の採用人数について計画通り充足しましたか。(n=519)

2021年卒の新卒採用全体の採用結果について質問したところ、「充足した」が50.2%、「充足していないが採用活動を終えた」24.4%、「充足しておらず採用活動を続けている」20.2%、「充足しておらず採用活動を続けるか検討中」5.2%でした。2020年12月末に行った同調査と比較し、「充足した」の回答が10ポイント上昇しています。

 

2.2021年卒の高卒採用の採用人数について計画通り充足しましたか。(n=274)

2021年度の高卒採用の採用結果について質問したところ、「充足した」が43.1%、「充足していないが採用活動を終えた」が27.4%、「充足しておらず採用活動を続けている」が25.9%、「充足しておらず採用活動を続けるか検討中」が3.6%でした。問1の新卒全体と比較して採用活動を続けている回答が5ポイント多い結果となりました。

 

3.2021年卒の高卒採用の応募はどのように来ましたか。【複数回答】(n=274)

2021年度の高校新卒採用の応募経路について質問したところ、「学校を通しての応募(学校斡旋)」が69.6%、「生徒自らの応募(自己開拓)」27.8%、「民間企業など学校以外の期間を通しての応募」19.8%、「縁故採用」16.1%、「応募は来なかった」が14.3%でした。約3割の新卒採用担当者は生徒自らの応募があったと回答し、縁故採用より多い結果となりました。

 

4.2021年卒の高卒採用活動について外部に委託したものはありますか。【複数回答可】(n=274)

高卒採用の外部に委託した活動について質問をしたところ、「自社活動のみ」との回答が48.5%、次いで「求人サイトへの掲載」29.6%、「合同企業説明会等の就職イベントの参加」と「求人票作成の指導」が同率で19.7%、「求人票発送代行」19.3%、「高校訪問代行」17.5%、「採用活動全般のコンサルティング」10.6%と回答がありました。半数の新卒担当者が高卒採用業務を外部委託しています。中でも高校生へ直接接点を取れる機会が少ないこともあってか、求人サイトへの掲載、就活イベントの参加など高校生に接点を取れるものに対して外部委託していることが分かります。

 

5.2021年卒の高卒採用活動で上手くいったフェーズについて教えてください。【複数回答可】(n=274)

高卒採用活動で上手くいった活動について質問したところ、「職場見学」が46.7%、「面接」が32.8%、「応募」が32.5%でした。上手くいった具体的な活動内容を質問すると、「職場見学を実施したことでミスマッチを防げた」など職場見学に関する回答や、「オンラインでの職場見学に効果があった」、「WEB面接の導入により、遠方からの面接希望の受け入れが可能になった」、「求人サイトの活用により希望者が多く集まった」など、大学卒に比べオンライン化の進行が遅い高校生の就職活動において、オンラインを積極的に活用した企業からはオンラインでの活用に効果があったとの声が多く挙がりました。

 

回答より一部抜粋
Webサイトを利用することによって多くの希望者が集まった。
WEB面接の導入により、遠方からの面接希望の受け入れが可能になった。
オンラインでの職場見学に手応えがあった。
オンライン説明会を実施した。
家族からの紹介やすでに働いている先輩からの紹介や縁故を使いながらの募集。
建築現場を見学してもらいモノ作りの面白さを伝えた。
採用戦略がうまい具合に働き、欲しい人材確保に成功した。
思い切って職場見学を実施したら、意外に好評だったこと。
時間をかけて選んで採用した。
自社製品を実際に手にとってもらい、その出来栄えと製造工程の見学、先輩との会話で入社を決めてもらった。
実際に事務所等の雰囲気を味わってもらい納得頂いた。また、近年ご父兄にも参加頂き、建設業なので安全等に力を入れている事で安心を頂いた。
重点校に対する求人活動。
職場見学を実施し、応募を辞退した生徒がいましたが、入社後のミスマッチを防ぐ意味で良かったと思います。
進路指導教諭との関係構築の成果で良い生徒さんを紹介してもらえた。
学校からのご紹介の際は、生徒さんは検討中の方が多かったですが、職場訪問をして実際体験して頂いて想像が出来た事により面接に繋がったと感じました。
早い対策。

 

6.2021年卒の高卒採用活動で上手くいかなかったフェーズについて教えてください。【複数回答可】(n=274)

高卒採用活動で上手くいかなかった活動について質問したところ、「特にない」が40.1%、「採用戦略」が29.2%、「母集団形成」が27.4%、「職場見学」が21.2%、「面接」が19.7%でした。特に回答が多かった採用戦略に関しては、コロナ禍で学校訪問やリアルでの活動に制限がある中で「採用計画が立てづらかった」「進路指導の先生とのコミュニケーションが取れなかった」など、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きかったという声が多くありました。また、問5でオンラインを活用し職場見学や面接が上手くいった企業とは反対に、対面での職場見学や面接が満足にできなかったとの声が多く見られました。

 

回答より一部抜粋
オンラインに苦労している。
コロナの影響で現場の状況を伝えることが出来ず、コミュニケーションを取ることが出来なかった。
高校とのつながりが持てなかった。
ノウハウがわからずネット等で検索し、手探り状態。採用活動においてすべて一人で行っており手が回らない時もあった。
パンフレットを全国の高校に郵送したが全くヒットしなかった。
就活解禁時期は、コロナ禍により対面での営業活動ができずに、認知度が上げられなかった。
学校訪問が難しくて出来なかった。
もう少し多くの学生に興味を持ってもらえるよう職場見学も開催したかった。
応募数を増やしたかったが認知度の差が出たように感じる。
気持ちはもう少し母集団形成出来たら採用数は増やせたと思う。
新型コロナで面接ができなかった。
コロナウイルスの蔓延で満足のいく面接が行えず内定を出した人が少なくなってしまった。優秀な人材確保を行うために現在も面接を行っている。
コロナで会っての面談があまりできなかった。
応募が多かったので審査に苦労しました。
内定辞退。

 

■入社後のフォローについて

7.入社後研修についてOFF-JTの期間はどの程度設けますか。(n=274)

入社後研修についてOFF-JTの期間を質問したところ、1位が「2週間~1ヶ月未満」2位が「数日~1週間未満」16.8%、3位が「1ヶ月~2ヶ月未満」15.7%でした。

 

8.メンター制度の導入または近くに話をしやすい先輩社員を配置していますか。(n=274)

高卒採用を行う企業にメンター制度や近くに話をしやすい先輩社員を配置について質問したところ、「導入している」が42.7%、「導入していないが検討中」が28.5%、「導入しておらず、今後もしない」が12.8%でした。

 

9.定着率を高める取組み・制度があれば教えてください。自由記述(n=274)

 

定着率を高める取組・制度について質問したところ、最も回答で多かったのが入社後の研修に関する取組でした。次いでコミュニケーション、面談、福利厚生に関する取組と回答がありました。

 

定着率を高める取組・制度の回答より一部抜粋
研修 職種ごとの研修と、新卒で1年間毎月研修を行っている。また、定期的に面談を行っている。
研修 入社から3年目までを通じて新卒社員のフォローアップの研修を行っている。高卒入社2年目に社内成人式を行っている。
コミュニケーション マンツーマンの指導員により、丁寧なフォローをするように指導している。
面談 1on1等による丁寧なケアサポートや、本人の将来のキャリアパスに向けた取り組みに対する会社としてのサポート。
福利厚生 スタッフのお子さん用のキッズルームを開設予定。
福利厚生 家賃補助、交通費全額支給。国家資格等の無金利貸付金制度。
メンター ブラザーシスター制度の導入。
資格支援 成長支援制度、資格取得に報奨金支給。
親の職場見学。
イベント 半年以内に屋内外の懇親会を実施している。

 

 

■22年卒の高卒採用活動について

10.2022年卒の大卒・短大・専門卒採用の求人募集人数は2021卒と比較し増減がありますか。(n=506)

新卒採用を行っている方全体に来年度(22卒)大学・大学院・短大・専門卒採用の募集人数の増減を質問したところ、「増やす」が19.0%、「変わらない」が41.3%、「減らす」が20.8%、「未定・分からない」が11.5%でした。

 

11.2022年卒の高卒採用の求人募集人数は2021年卒と比較し増減がありますか。(n=506)

来年度(22卒)高校新卒採用の募集人数の増減を質問したところ、「増やす」が17.0.%、「変わらない」が40.9%、「減らす」が16.8%でした。「前年より増やす」「前年と同じ」を合わせ57.9%と半数以上が積極的に高卒採用をすることが分かります。「未定・分からない」の回答が9.9%と今後の採用の見通しが不透明との回答がある一方で、半数以上の企業が高卒採用に意欲的であることが分かります。

 

12.2022年卒の高卒採用では採用活動を外部に委託する予定のものはありますか。【複数回答可】(n=400)

2022年卒の高卒採用で外部委託する予定の採用活動を質問したところ、「外部委託する予定はない」40.5%、「求人サイトへの掲載」25.8%、「合同企業説明会等への就活イベントへの参加」22.5%、「求人票作成の指導」22.3%、「求人票発送代行」20.3%、「高校訪問代行」17.8%、「採用活動全般のコンサルティング」が11.5%でした。21卒の結果と比較すると外部委託を予定している回答が8%増加しており、合同企業説明会等の就活イベントへの参加などが増えています。

 

13.高校生の就職活動では応募開始時期から複数社応募を検討する都道府県も出ています。

複数社応募に関してどのようにお考えですか。(n=506)

高校生の就職活動における複数社応募に関して考えを質問したところ、「応募開始から複数社応募を導入した方がいいと思う」44.1%、「応募開始時期は一人一社制が良いが、複数社応募できる時期を早めた方が良いと思う」32%、「応募開始時期は一人一社制が良いし、スケジュールも今のままが良いと思う」10.3%でした。「複数社応募の導入」や「複数社応募できる時期を早める」合わせて76.1%で、何らかの形で現行のルールの変更を求める意見が非常に多いことが分かります。

 

 

<アンケート調査結果を受けて>

本アンケート調査によると、21卒の高校新卒採用の募集結果は「充足した」が43.1%、「充足していないが採用活動を終えた」が27.4%、「充足しておらず採用活動を続けている」が25.9%、「充足しておらず採用活動を続けるか検討中」が3.6%でした。22卒の高校新卒採用の募集人数は「前年より増やす」が17%、「前年と同じ」40.9%、「前年より減らす」16.8%と、半数以上が採用に意欲を示しており、コロナ禍でも若年層を採用したいという企業意欲は、過去から継続して根強いものがあることが分かります。

 

21卒の採用活動で上手くいったフェーズを質問すると「職場見学」が46%と最多で、「職場見学を実施したことでミスマッチを防げた」など、例年と変わらず職場見学に価値を感じる回答と同時に、「オンラインでの職場見学に効果があった」、「WEB面接の導入により、遠方からの面接希望の受け入れが可能になった」「オンラインでの採用活動が良かった」などの、例年通りの採用活動の中身がオンライン導入により変化していることを表す声も多数ありました。対して、上手くいかなかったフェーズについて質問をすると「採用戦略」が29%と最多で「新型コロナによる活動の制限」などの声が多数寄せられました。コロナ禍でも変わらないもの、変えるべきものが、コロナウイルスによって明確になり、高卒採用活動がより一層進化していることが見て取れます。

ここから22卒に関して予測できることは、オンラインによる職場見学等の採用活動の一層の導入や、状況に応じて臨機応変に対応できる戦略策定が重要になるということです。

 

また、応募経路について、現状「学校を通しての応募(学校斡旋)」が多数ですが、「生徒自らの応募(自己開拓)」や「民間企業など学校以外の期間を通しての応募」も一定数いることが分かりました。複数社応募についてどう考えるかについての質問でも、「複数社応募の導入した方が良いと思う」が44%、「応募時期は一人一社、複数社応募できる時期を早めた方が良いと思う」32%と見直しを求める意見が4分の3を占めていることから、今後学校斡旋以外の応募の増加も見込まれ、企業としては受入方法についての検討も重要になると言えそうです。

 

入社後のフォローについては3分の2の企業がメンター制度導入・検討しています。定着率を高める取組として最も回答が多かったのは入社後の研修に関する取組でした。次いでコミュニケーション、面談、福利厚生に関する取組と回答がありました。若年層に活躍してほしいという企業の希望が、一層高まっていることを表す回答であると言えます。

 

企業としては、先行きが不透明であっても将来を見据えた若年層の採用意欲は衰えることなく積極的です。採用後の活躍も見据えた社内体制の整備が、採用活動の成功及び事業拡大のカギとなると言えます。

 

<回答者属性>

 

プレスリリース本文PDFはコチラ「高校新卒採用についての動向調査21年(3月)」

 

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株式会社ジンジブ 広報:佐藤・杉尾 pr@jinjib.co.jp